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第79話
三人とも突っ立ったままで告げられた摯実な言葉に、部屋の空気が固まった。
音という音全てが無くなってしまったのかと思うほど静かな静かな静寂が、三人を包み込む。
嬉しさのあまり言葉を失ってしまった千世。
驚愕して魂が飛んでいったかのように動けないでいる泰志。
そして二人の反応を待っていた廉佳。
三人分の沈黙が重くのしかかる中、泰志が口火を切った。
「――な……」
「な?」
「何それ狡い! 俺も混ぜてよ!!」
まるで駄々をこねる子供のように泰志が言い放つ。それに千世は困惑することしかできない。混ぜるとは、どうやって?
「これって、千世にぃと廉にぃが恋人同士になるってことでしょ? 俺だって千世にぃのこと好きなのに狡いよ! 二人が恋人なら、俺は千世にぃの愛人になる!」
何やらとんでもないことを言い出した弟を、千世は必死になって食い止めた。
「ま、待ってよ泰志、僕は泰志のこと弟としては好きだけど、そう言う目では見られないよ」
本当はもっと落ち着いた時間と状況で言うはずだった台詞を、こういう形で言うなんて。
「ならこれから好きになってくれればいいから。もう一週間とかどうでもいいよ。あーもー、廉にぃ家に入れるんじゃなかった~」
一週間って何のことだ? と首を傾げる廉佳に、こっちの話だと切り返す。
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