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第93話 ※
「千世にぃ、煽るの禁止……」
「そんなこと、してな――ぁあ、待っ……んぁああア!」
ぐぐっ、と泰志の昂ぶりが迫 り上がってくる。その痛撃に千世の身体は恐れおののいた。本能的に身を守ろうとしてじたばたともがくが、身体を僅かに捩 るだけに終わってしまう。
ちらりと下を見ると泰志のものが括れた部分まで這入っていて。これ以上は怖くなってすぐに顔を上げると泰志と眼が合ってしまった。彼は前髪を掻き上げながら、大丈夫? と尋ねてくる。
それに首を横に振って答えると、千世は心許ない身体を安定させようとして正面の泰志に腕を伸ばす。
「千世にぃ……」
縋り付く千世を見て泰志が少しだけ腰を引く。『先っぽだけ』のはずだったのだから、もう充分だろう。
そのまま昂ぶりが抜かれることを期待していた千世の耳に、急に濡れた感触がした。
「ひッ、あっあ…れ、れんかさ……」
犯人は廉佳だ。耳翼 を舐められて肩がびくんと跳ねる。さらに千世の気を逸らすように自身をあやされて、再び訪れた悦楽を享受 した。
「ここまで来たんだからいけるよ。千世なら頑張れるだろ?」
そんなこと言われても無理なものは無理だ。もはやどの場面から後悔すれば良いのか分からないくらい、今ここにいることを悔やんでいる。
しかし廉佳に自身を扱かれて、性器ではないのに異常なほど感じてしまう耳に舌を這わされて、身体の方が先に素直になってしまった。
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