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第97話
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あれから二週間ほどが経つが、特に変わったことはない。元々廉佳とは学校でよく会うし、泰志とは一つ屋根の下で暮らしているのだから一緒に居る時間もさほど変わっていない。ただ、二人ともスキンシップが少し多くなって、その度にばくばくと鳴りだす心臓と紅くなる顔を鎮めるのに時間がかかってしまうのが最近の悩みの種だったりする。
スキンシップといっても外では控え目にしてくれているし、家の中でもあの日のような激しい濃密な戯れまで至ってない。と言うより、そういう空気になっても千世が恥ずかしさのあまり逃げ出してしまうのだ。だから廉佳と二人きりになってもキスで精一杯だった。
泰志の方は相変わらずと言うべきか、千世にべったりとくっついている。本当に愛人という肩書きで良いのか未だに疑問に思うところはあるが、本人がそれでいいと言っている以上千世も深く追求していない。彼もまた廉佳のように誰もいないところでキスをしてくるが、嫌悪感を抱いたことは一度もなかった。
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