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第107話
「因 みに福津先輩も来るぞ」
「やる」
我ながら呆れるほどの即答だった。
「ありがとー! お前なら引き受けてくれるって思ってたよ。じゃあ明日の朝九時、一号館のゲート下に集合な」
「うん。明日はよろしく」
電話が切れて、再び千世と泰志だけの空間になる。
(――や、やっちゃった……)
「千世にぃ、なんか暗い顔だけどどうしたの?」
「明日僕の大学のオープンキャンパスがあるんだけど、そのスタッフのバイトを頼まれちゃって」
「よく『やる』って言ったね。千世にぃ人見知りじゃん」
「それが、廉佳さんも来るって言われて……」
高河は最初から、廉佳が参加すると言えば千世が二つ返事で応諾 すると思って電話をかけてきたのだろう。恋人であることは誰にも話していないが、高河は千世と廉佳が幼馴染みであると知っている。
まんまと餌に釣られてしまった自分にも非があるが、応じてしまった以上責任を持って成し遂げなければ。人前に出るのは苦手だが、責任感が強いところは長所なのだ。
「まったく、千世にぃは廉にぃのこととなると周りが見えなくなっちゃうよね」
「そ、それは仕方ないというか……。だって好きなんだもん」
ただでさえ暑いのに、さらに顔を熱くしてしまう。
「ふーん。愛人とはいっても、目の前で惚気 られると妬いちゃうな」
「そんなこと、いわれても」
「ねぇ千世にぃ。汗かいたらさ、気化熱で涼しくなると思わない?」
「な、なに急に……」
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