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第110話 ※

「んんーっ、…んむ、…んっ」  未だ唇は解放されず、泰志の手が服の下へ忍び込んできた。すっかり敏感な器官に作り替えられてしまった胸の突起を指先で摘ままれて甘く喉が鳴る。  弟はどうやったら千世を黙らせ、抵抗力を奪うのか心得ていた 「ぅん――ふぁっ、ぁ…や、ああっ」 「暑いから脱いじゃおっか」  その言い方は訂正するべきだ。正しくは『脱がすからじっとしていて』。  千世には服を脱がされる以外の選択肢はなく、泰志にも兄を裸に剥こうという意思しかないのだから。  大人しくされるがままになっていると、泰志があるものを見つけ出した。 「あーあ、廉にぃにも愛されちゃって」  七分丈のボトムスと下着を剥ぎ取られて露わになったキスマーク。千世の下腹部や足の付け根に、点々と紅く咲いていた。 「最近のだね。いつ付けられたの?」 「……おととい」 「どんなことしてた?」 「泰志には関係ない……~~っ!」  片足を持ち上げられて暴かれた内腿に泰志の顔が迫る。そして廉佳が付けた痕の上に口付けを落とした。肌に残る紅い印を一つずつ辿られ、廉佳との行為を思い出す。彼も際どいところを吸い上げては千世を焦らすのだ。  こんなことを繰り返されているから、千世の身体には大抵二人の痕跡が残っている。

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