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第112話 ※

「や…ぁ……あく、ぅ……ぁん」  たまに、キスをするように吸い上げてくるのが堪らない。だが身体の奥で得られる快感を知ってしまった千世にとっては、なかなか深くまで這入ってこない舌が歯痒く感じられた。  早く硬いもので中を擦り上げてほしい。 (なんて、絶対に言えないよ……っ)  そんな恥辱に耐えられるはずがない。それこそ顔から火が出る思いだ。 「は、あ…ぁあァ……ぁ、ふぁ」 「――そろそろ、舌じゃ足りなくなってきたんじゃない?」 「!」  やられた。  千世が弟の考えていることは大体予想がつくように、泰志も兄の思っていることなどお見通しなのだ。 「ぼ…僕を、どうしたいの?」 「どうもしないよ。ただ、ちょっとおねだりしてほしいだけ」 「――?」  おねだり、なんて子供のような言い方だ。泰志はそれを千世にさせようとしている。それも千世が恥ずかしがるのを知った上で。 「千世にぃの口から、入れてほしいって聞きたいな」 「やだよ…そんなこと、出来ないぃ……」  泣きべそをかく千世の尻を手の平で撫で回しながら、泰志は再び後孔へ口を寄せた。 「ならずっとこのままだよ? 千世にぃの、ここを舐めるだけ。まあ、指くらいは入れてあげるよ。でも本当に欲しいものは得られない――」 「あ……ああぁアあっ」

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