113 / 234

第114話 ※

「ぅあ、ああぁ…苦し……イきたぃ……」 「なら早く言ってごらん。すぐ楽になれるよ」 「ぁふ…ぁああ、アあぁあ! も、やだぁ」 「なら早く。このままじゃ嫌なんでしょ?」  指が内壁を()る間隔が短くなって、喉の奥から高い声が押し出される。  ――イきたいのにイけない。  おぞましいほどの快感が千世を喰らい尽くし、遂にぎりぎりのところで保っていた理性を瓦解させた。 「……っ…、イきたい……泰志の、を…僕に――入れ…て」 「よくできました」  弟にこんな姿にされてその身体を求めるなんて、ほんの二ヶ月前の自分からは想像もつかない。千世は泰志に顔を見られないように項垂(うなだ)れるが、すぐに体勢を崩して仰向けにさせられる。 「やっぱり顔が見えてた方がイイね」 「んっ――んぁああァ! あっ、やぁ、あ」  舌で丹念に解された場所に泰志の熱が触れる。かと思ったら何の躊躇いもなしに最奥まで貫かれて、千世は背中を(しな)らせた。 「あはっ、入れただけでイっちゃったね」 「え……?」  泰志に指摘されて腹部を見ると、そこには自らが放った欲望の証が散っていた。自分でも気付かないで達してしまうなんて初めてだ。 「焦らしすぎたかな? でも、まだまだこれからだからね」 「…あ、んん…、ぁあ」  泰志の容赦ない突き上げに、だらしなく開いた口の端から唾液が垂れる。はしたなく上がる嬌声も、彼の律動に合わせて動いてしまう腰も、自分の意思では止められなかった。

ともだちにシェアしよう!