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第116話 ※

「千世にぃの中、俺に絡みついてくるよ」 「だって…ぁ、んんぁ……からだが、かってに……」 「勝手に俺のこと誘ってくるの? なにそれ、エロいね」 「~~、ちがっ、あ…ぁあ、ゃあ」  そんな言い方されたら、自分が淫乱になってしまったみたいだ。それを否定したくて千世は首を振ろうとする。  しかし頭の上から足のつま先まで愉悦に浸っている今、ろくに力も入らない身体が言うことを聞くことはなかった。 「千世にぃを泣かせるなんて弟失格だけど、可愛いんだから仕方ないよね」 「ひぃ、あ、あっ…あぅぅうっ」  ぽろぽろと涙を流す千世を貫く熱芯は、身体を深く浅く抉ってくる。泰志も限界が近いのだろう、だんだんピッチが速まってきた。 「はあ――やっばい、俺、もうイきそ……」 「ぼく、僕…も……もぉ…ぁ、ぁああぁ」  胸を上下させながら喘ぎ声の切れ間に訴える。こうして泰志に千世の全てを明け渡すことも、兄弟の間では普通になってしまった。兄弟で身体を重ねるなんて、普通じゃないのに――  だが背徳感に(さいな)まれて興奮してしまう自分がいるのもまた事実だった。 (僕…泰志にイかされる……っ) 「んぁ、ぁあふぁ――ッ、あぁああァあ!」 「――ぅくっ」  二人は同時に極め、腹の中が泰志の精液で濡らされる衝撃さえ快感として掬い取った。  荒い呼吸を整えようとして大きく息をしていると、泰志の腕が背中に回ってきて抱き起こされる。そして痛いくらいにきつく抱き締めてきた。

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