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第118話
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「ぎ、ギリギリセーフ……」
スタッフの集合場所である、大学の一号館のゲート下に着いたのは八時五十八分。昨晩遊びすぎたせいと、色々準備をしていたせいで遅刻寸前になってしまった。そこには既に数十人の学生が集まっている。
千世は髪を手櫛で整えながら、廉佳か高河がいないか探し始めた。昨日泰志に噛まれたうなじのところは痕が残ってしまっているから髪の毛で隠さなくては。
「千世? お前こんな所で何してんだ」
背後から声をかけてきたのは廉佳だった。
「廉佳さんおはよう。何って、バイトだよ」
「バイト? まさか千世がオープンキャンパスのスタッフやるとはな……もしかして、風邪で倒れたって奴の代わりか?」
「うん、友達に頼まれちゃって。僕も向いてるとは思えないけど頑張るよ」
「そうは言ってもなぁ……あ、そうだ。千世が俺と同じ係やれるように頼んでこようか?」
「ほんと?」
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