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第119話

 そうしてもらえるならありがたい。上がりやすい千世も、廉佳と一緒なら安心して作業が出来るだろう。 「ああ。ちょっと行ってくる!」 「あ、ありがとう」  小走りで事務員の元へ向かう廉佳の背中に礼を言う。その厚意は素直に嬉しいのだが、一日彼といたら別の意味で緊張しそうだ。  しばらくすると廉佳が戻ってくる。彼は水色のTシャツを手にしていた。 「千世は俺と一緒に受け付け係になったから。あとこれ、スタッフのユニフォーム」 「ありがとう、助かるよ」  受け取ったTシャツを広げてみると、それには大学のロゴと『STAFF』の文字が入っていた。水色なのはこの大学のイメージカラーだからだろう。今日も暑くなる予報だから、涼やかで丁度良い。 「それ男女兼用なんだけどMサイズしか残ってないんだって。千世はSサイズじゃないと、でかいよな?」 「うーん、確かにちょっと大きいかな。着てみないと分かんないけど」 「それもそうだな。更衣室と荷物置き場は一階の一番奥の教室だから、この説明が終わったら移動しよう」  やがて改めて集合の声がかかり、千世達は一通りの説明を受けて本格的にスタッフとして始動した。

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