131 / 234

第132話

 ここから先は廉佳の独擅場(どくせんじょう)だった。  愛撫のように丹念に()ぶられ気分が高揚していく。いつの間にか息が上がって、あらぬ想像をしてしまった。廉佳の舌の動きはあの時(・・・)と似ているのだ。  まるで、自身を口淫されているような―― 「千世。今、何考えてる?」 「……っ」  関節を軽く噛みながら尋ねられて息を呑む。  自分が考えていることが伝わっているのかと思うと、恥ずかしさのあまり逃げ出したくなった。 「そんな顔するなよ、悪いことじゃない。そういう気分になって欲しかったし、俺もまだまだ千世を喰べたいし」 「喰べ、る……?」 「良いか?」  正直千世も我慢が効くか分からなかったから、断る理由も無い。静かに首を縦に振った。  すると今度は熱い口付けに襲われる。 「ふぁ…ん、んんーっ」  千世の口腔に這入り込んできたそれに歯の裏を舐められ、背筋がぞくぞくとした。その刺激は下半身まで降りてきて千世から力を奪っていく。  廉佳に縋り付くようにして何とか立っているが、彼のキスは巧みだった。

ともだちにシェアしよう!