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第134話 ※
「こうした方が早そうだな」
(これは……もしかしなくても、お姫様だっこ!?)
横向きに抱かれた千世は、その不安定さから廉佳の首にしがみついた。足の力が抜けているから抱いた方が早いという理論は分かるが、この体勢はさすがに恥ずかしい。
「千世は相変わらず軽いなー。まだまだ暑くなるんだから、体調には気をつけろよ」
「こんな時までお説教?」
「まさか。心配なだけだよ。ほら行くぞ、しっかり掴まってろ」
廉佳が大股で歩き出すと、揺り籠のような振動が千世を包み込む。目的地までは近かったのですぐに降ろされてしまったが、もう少しだけその心地よい律動に身を任せていたかった。廉佳は律儀にもトイレの前のゴミ箱にレジ袋を捨ててくれる。
男子トイレの個室に入ると、廉佳は千世の身体を降ろして鍵を閉めた。
狭い空間では互いの身体が密着し、常に相手のどこかと触れている。
そんな中、廉佳が正面から千世の腰に左手を回してくる。
「ぁ……」
尻の丸みを撫でられて期待に満ちた声が上がる。これから何をされるのかは彼に全て任せていた。
廉佳は右手だけでズボンのホックを外すと、その中へ手を突っ込んでくる。下着の上から臀部を掴まれ、千世はビクッと肩を振るわせた。
「ふ、ぅ…ん」
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