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第135話 ※

 その手は次第に奥へと進んでいき、会陰部をくっと押す。  後孔でも自身でもないところへの刺激。それは間接的ではあるが、確実に千世の官能を引きずり出していく。 「ぁ…ん、ん……っ」 「声、我慢してる?」 「だって――っぁあ!」  いつもは千世か廉佳の家でしていたが、そのどちらでも無い場所、ましてや学校なんて誰が来るか分からないのに声なんて出していられない。 「オープンキャンパスとはいえ夏休みなんだぞ。ここの生徒も高校生もとっくに帰ったよ」 「でも…警備員さんとか……」 「足音くらいするだろ。もし聞こえたら口塞いでやるよ」 こんな風に、と廉佳が手本を示す。 「ふぁ……ん…んんーッ」  千世の嬌声を二人の口の中で共有し、互いに舌を絡め合う。お陰で声が外に漏れることはないが、舌が擦れ合う感触に頭の中がぼんやりとしてきた。足の間の秘めた場所もぐりぐりと押し込まれ、今にも(くずお)れてしまいそうだ。後孔を弄られた時のようなはっきりとした絶頂を目の前に見る快感とは違い、じんわりと内側から痺れていくようなそれだった。 「んぅ、く…んっん……ん、む」  こんなに長い時間キスを交わすのは初めてだ。何度も息を継ぎ、何度も口を塞がれる。  そして唾液が口から溢れ、唇の感覚がなくなってきた頃。ようやく千世は喘ぐことを許された。

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