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第147話

 その名は日本最大級の同人誌即売会の名称だ。毎年ニュースでも取り上げられるくらいだが千世も知っていたが、それはもう終わっている。 「これはまた違うイベントだと思うけど、前に廉にぃの家でそんな地図を見たんだ。それがカトゥーンプラザだったって訳。廉にぃ同人誌でも出すのかな?」 「さぁ……あ、ここ見て。『サンセット・スナイパー オンリーイベント』だって」 「じゃあまじで本出すんじゃない? すごいねー」  地図をよく見ると、その一角のスペースに赤い丸で囲まれた部分があった。そこが集合場所なのだろう。 「こういう所って結構人が集まるみたいだけど、千世にぃ大丈夫?」 「大丈夫…だと、思う……多分」  だんだん自信がなくなってきて尻窄まりになってしまう。 「ま、廉にぃがいるなら安心か。頑張ってきてねー」 「ぅう……他人事(ひとごと)だと思って……」 「だって俺高校生だから駄目って言われたし」 (高校生は駄目って、廉佳さん何をするつもりなんだろう)  この手のイベントに年齢制限はなかったはずだ。彼が怪しいことをさせるとは思えないが、さすがに不安になってくる。  廉佳だけでなく泰志も一緒に来てくれたらどんなに心強いことか。だがむやみに弟を連れだす訳にもいかず、千世は覚悟を決めて明日に備えるのだった。

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