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第150話
(これ……R-18……って)
「十八禁!? だから泰志は駄目って言ったの?」
「高校生には売れないのに高校生の泰志に来てもらう訳にもいかないしな」
「そうだけどっ」
「だから千世は座ってるだけで良いんだってば。それを読む必要もない」
座っているだけなんてただのお荷物ではないか。ここに来た意味などあるのだろうか。
ともあれ、未経験のことをやらなくて済むというだけで千世の心は軽い。赤面ものの本は置いて、改めて会場をぐるりと見渡した。
華やかなスペース、雑踏の音、そして少し熱気が籠った参加者達の楽しそうな雰囲気。そのどれもが千世をわくわくさせている。
しかし廉佳の隣に立っていた人物を発見した時、その気持ちが翳 り始めた。
(女の人……)
千世があからさまに表情を暗くしたのがいけなかった。廉佳が慌ててフォローに入る。
「ち、違うんだ千世! こいつは漫研の友達。イベントには俺よりも参加してて売り子として即戦力になるから引っ張り出してきたんだ。女性が多いイベントだから、男友達に頼む訳にもいかなくてさ」
「あ、そ、そうなんだ……」
事情を聞いて納得した千世は彼とその友人の前でヤキモチを焼いていたことに気付き、顔がどっと赤くなる。
千世よりも少し背が高いその女性は見るからに温厚そうで、こちらに柔らかく手を振ってくれた。
「でも廉佳さん、僕男だけど」
「そこも心配しなくていい。千世にはこれを着てほしくてさ」
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