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第155話

「やばい……俺、今なら死ねる……」 「そんなっ、廉佳さん死んじゃ嫌だよ」 「ものの例えだよ。ああもう可愛いな、クソッ」  恥ずかしいからと後ろを向いてもらってから二、三分。またこちらを振り向いた廉佳は小刻みに震えながら今にも泣きそうな声を上げた。 「恥ずかしいよ、こんな格好……」  一方の千世も眼に涙を浮かべながら羞恥に耐えていた。肌の露出自体はさほど多くはないのだが、パンツなんて膝上二十センチくらいしかないから足がすーすーして落ち着かないし、ブラウスの裾も短くて腕を上げたらお腹が見えてしまう。  顔を真っ赤にしてもじもじしている千世に、廉佳が仕上げを施した。 「あとはこれを付けててくれ」  渡されたのは玩具(おもちゃ)の拳銃が入った革製のホルスター。 「ルリくんは十五歳ながらプロの殺し屋だ。その女の子の様な見た目で相手を誘惑して罠にかけるのがいつもの手段なんだけど、拳銃の扱いも得意で仕事モードの時は太腿のホルスターに銃を入れてるんだ」  なるほど、細部までこだわりたいのだろう。  だが言われた通りホルスターを身に付けると、廉佳は手で顔を覆ってぶるぶると身震いをしていた。 「ど、どうしたの? 具合でも悪いの?」 「そうじゃない……そうじゃないんだ。千世が可愛すぎて……辛い」 「え? 辛いなら休んだ方が――」 「違うんだ……俺は今最高に興奮している。辛いっていうのは、幸せの極みだと思ってくれ」 「う、うん……」

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