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第157話

「ねえ廉佳さん、僕のコスプレ変だよね? みんなすごいこっち見てくるよ」 「心配するな、変なんかじゃないよ。逆にクオリティーの高さにびっくりしてるんだ」 「本当かなぁ」 「ほんとほんと」  自分を見てくる人達を視界から締め出そうとして廉佳の方を見ていたら、ふいに眼が合ってしまって千世はつい下を向いてしまう。 「そんなに恥ずかしがるなよ。千世を見てくれる人は誰もお前のこと知らないんだし、似合ってるんだから堂々としてろ」 「――うん」 「ルリくんは俺の新刊の主人公でもあるんだ。千世が居てくれたら良いプロモーションになる。っていうか居てくれないと困る。イベントは疲れるから、千世を補給しないとやってらんないよ」  廉佳も元の調子に戻ったようで、いつものように千世をこの上なく喜ばせてくれる。それをさらりと、しかしふざけた様子は一切見せずに言うから千世も必要以上に赤くなってしまった。

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