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第180話 ※
千世は自分の足を抱えたままその律動に身を委ねた。擦られる内壁は柔らかく蕩け、泰志の昂ぶりに絡みついている。
『千世、すごく気持ちよさそうな顔してる……そんなに泰志のがイイ?』
スマートフォンから廉佳の声がする。その姿は見えないのに彼が眼の前にいるような気がして、千世は泣きそうになった。
さっきも思ったが、どちらの方が気持ち良いかなんて決められないのだ。それぞれ違った快感があるし、好きな相手との行為が良くないはずがない。
「れん、かさんのも…すき、ぃ……あ、やぁあっ」
答えた途端に奥を勢いよく突かれて声が裏返る。
「廉にぃよりもっと気持ち良くしてあげるよ」
「ひぅッ! や、あ――おく…だめ、ぇ……ぁん、あぁあ」
泰志が根元まで埋まり、最奥にずん、とした衝撃のようなものが走った。眼の前でフラッシュが焚かれたみたいに視界が白くなり、身体が浮き上がるような快感に襲われる。
「あぁァあ、やっ……、ん、ああッ」
『よがってる千世の顔、すごいそそるけど愛人に抱かれてるって思うと妬けるな』
「ごめ…、ごめん、れんか、さ……ぁ、ふぁ」
「……千世にぃは悪くないよ。悪いのは俺なんだ」
「え? ――んぅ、あ、はっ…」
そんなこと言わないで。悪いのはいつもあやふやな愛情を抱いている自分なんだ、と心の中で謝る。
千世を穿つ欲望は弱いところばかり狙ってくる。千世は自ら抱えている太腿に爪を立て、嬌声を上げ続けた。
『千世、イきそう?』
「んっ、ぁあ…い、イきそ……」
『そう。泰志に犯されてイきそうなんだ』
「ごめん…、ごめん、なさ…ァあ、んんぅ」
『いいよ。イけよ』
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