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第181話 ※
廉佳の声が千世を嬲る。低く囁くその声は、姿こそ見えないものの確実に千世を煽ってくる。今はスマートフォンのカメラが廉佳の眼だ。一方的な視線を過敏に感じ取り、身体の熱を湧き上がらせる。
「はぁッ、千世にぃ……!」
「んぁ、あっあ…、泰志――」
千世は耐えきれなくなって足から離した手を泰志の首に回した。その弾みに体勢を崩した泰志は千世の頭の両側に手を付くが、スマートフォンは床に投げ出されてしまう。
二人とも一瞬だけそちらに気が行くが、すぐに泰志の激しい抽挿に襲われた。泰志が身を屈めたことによって自身が彼の腹に擦れ、止めどなく先走りを垂らす。
近付く絶頂に、千世は弟の背中をかき抱いた。
「あぁ、んっ、んんぅ、……あァああぁあ――っ!」
内壁を強く抉られて千世の熱が弾ける。痙攣する粘膜に締め上げられた泰志が息を詰めた。
「――ッく」
「あっ…あ、ぁ……あつぃ…」
後孔が彼の白濁で満たされる。弟に犯されているのだという実感に胸が熱くなった。
しばらくして息が落ち着いた頃、泰志が画面の暗くなったスマートフォンを拾い上げる。
「電話、切れちゃったね」
「ごめん……」
「だから、さっきから謝りすぎだよ。全部、俺が勝手に千世にぃの愛人になったせい」
「…………」
本当にそれだけだろうか。
廉佳が嫉妬してしまうのは泰志が愛人だからという理由一つではない気がする。
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