188 / 234

第189話

        *** 「来たー! 遊園地ッ!!」  泰志が千世の手を握ったまま空へ拳を突き上げる。腕が引っ張られてつま先立ちになったところを、隣に立つ廉佳が支えてくれた。 「はしゃぎすぎだ、泰志」 「ごめんごめん。だって嬉しいんだもん」  泰志の気持ちはよく分かる。千世も、表には出さないものの内心かなり浮かれていた。  久々の遊園地。しかも二人が一緒ともなればその楽しさは二倍にも三倍にもなる。  特に泰志は受験が一段落ついたということもあって、子供のようにはしゃいでいた。 「ねぇねぇ、まずはどれに乗る? ジェットコースター? フリーウォール?」 「絶叫系はちょっと……」 「まずは()いてるやつから乗らないか?」  とは言っても今日は日曜日。空すいているアトラクションなどそう簡単に見つかるだろうか。 「あっ、じゃああれに乗ろうよ!」  泰志が指をさしたのは、よく西部劇に出てくる飲み屋のような外見の建物。パンフレットを見てみると、そこではシューティングゲームが体験できるそうだ。十人ほどの列ができていたが、混んでいることはないだろう。 「ああ、あれで良いんじゃないか。千世はどうだ?」 「僕もあれがいいな。激しいのは苦手だから……」 「決まったね。じゃあ行こー!」  泰志が先に駆け出してしまって、千世と廉佳はその後ろを歩きながらついていった。 「若者は元気だなぁ」 「何言ってるの、廉佳さんだって若者でしょ」 「ははっ、そうだな」

ともだちにシェアしよう!