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第189話
***
「来たー! 遊園地ッ!!」
泰志が千世の手を握ったまま空へ拳を突き上げる。腕が引っ張られてつま先立ちになったところを、隣に立つ廉佳が支えてくれた。
「はしゃぎすぎだ、泰志」
「ごめんごめん。だって嬉しいんだもん」
泰志の気持ちはよく分かる。千世も、表には出さないものの内心かなり浮かれていた。
久々の遊園地。しかも二人が一緒ともなればその楽しさは二倍にも三倍にもなる。
特に泰志は受験が一段落ついたということもあって、子供のようにはしゃいでいた。
「ねぇねぇ、まずはどれに乗る? ジェットコースター? フリーウォール?」
「絶叫系はちょっと……」
「まずは空 いてるやつから乗らないか?」
とは言っても今日は日曜日。空すいているアトラクションなどそう簡単に見つかるだろうか。
「あっ、じゃああれに乗ろうよ!」
泰志が指をさしたのは、よく西部劇に出てくる飲み屋のような外見の建物。パンフレットを見てみると、そこではシューティングゲームが体験できるそうだ。十人ほどの列ができていたが、混んでいることはないだろう。
「ああ、あれで良いんじゃないか。千世はどうだ?」
「僕もあれがいいな。激しいのは苦手だから……」
「決まったね。じゃあ行こー!」
泰志が先に駆け出してしまって、千世と廉佳はその後ろを歩きながらついていった。
「若者は元気だなぁ」
「何言ってるの、廉佳さんだって若者でしょ」
「ははっ、そうだな」
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