190 / 234

第191話

 中に通されるとそこには四人まで乗れるトロッコがあって、千世と廉佳が前に、泰志は後ろの席に着く。  ゲストはガンマンになりきって至る所に現れる的をレーザーガンで撃ち抜く、というアトラクションだ。  キャストに手を振って見送られ、トロッコがガタンと動き出す。いよいよアトラクションが始まったというどきどきと、廉佳の隣に座っているというどきどきが相乗効果を引き起こして千世の心臓はばくばくと大きな音を立てる。 「千世、そっち狙って!」 「えっ――」  廉佳の声ではっとして振り返ると、的がトロッコの後ろの方に流れていくところだった。 「ドンマイドンマイ、すぐに次が来る――よっと」 「わぁ、廉佳さん上手だね」 「前に大学の友達とサバゲーしに行ったことがあるんだ。あとサンスナのお陰もあるな。自分で調べて、銃についての知識が身についたから」  本格的な銃の知識がこのアトラクションにどのくらい活かされているのかは不明だが、廉佳の眼は完全にスナイパーだった。 「千世にぃ見て見て! 俺も当たったよー」  後ろから泰志が肩を叩いてくる。相当喜んでいるのが声の調子だけで分かった。彼は昔から屋台の射的が得意だから、この程度のアトラクションなら余裕でこなせるだろう。  千世はまだ一発も撃ってないレーザーガンを握り締め、二人に負けまいと密かに気合いを入れる。 「――えいっ」 「撃つときに眼を瞑ってたら駄目だろ、千世。こうするんだよ」

ともだちにシェアしよう!