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第196話

 妖怪やお化けの呻き声と効果音、激しい物音に怖じ気づく千世の悲鳴と、たまに泰志と廉佳の笑い声が響く屋敷をやっとのことで抜け出す頃にはへとへとになっていた。 「つ、疲れた……」 「でもびくびくして俺の背中にしがみついてくる千世にぃも可愛かったよ」 「僕のことは忘れていいから……」  あんなに騒いだのは初めてかもしれない。後になって振り返ると、弟や恋人の前でみっともないところを見せてしまって居たたまれなくなる。 「疲れたなら休憩にするか? 少し早いけど昼飯にしてもいいし」  廉佳の提案に二人は頷く。異論は少しもなかった。 「うん、それが良いかな。どこかで座って休みたいし」 「俺もー。何かお腹空いてきた」 「どこかにレストランとかなかったけ?」  千世が広げたパンフレットを両側から二人が覗き込む。この近くにはピザのお店やパスタのお店があるようだ。 「天気が良いから、テラス席があるところにしないか?」 「さんせーい。たまには外で食べるのもいいよねぇ」 「じゃあ……ここは?」  地図の真ん中あたり。大きな噴水の近くにあるそこは、ハンバーガーやサンドイッチが売りのレストランで、ウッドデッキの席もあった。三人で並んで食べたらきっと美味しいだろう。  そういえば外でご飯を食べること自体久し振りだ。

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