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第198話
「俺お腹空いちゃった。早く入ろ」
数歩先に出た泰志が手招きをする。よく食べる割に体重が増えないのは、周りからすれば羨ましい体質だ。
泰志の後に続いて中に入ると、垢抜けた雰囲気と木の匂いが三人を出迎える。
注文を終えて外の席に出たらちょうど噴水が高く噴き上がっているところだった。秋の陽射しに照らされて水しぶきが七色に輝く。
「お、良い席取れたな」
「俺千世にぃの隣座ろーっと」
「なら俺も」
「ちょ、ちょっと狭いよ二人とも」
二人ずつ向き合って座れる四人がけのテーブルが、三人で並ぶとぎゅうぎゅうになる。右側に泰志、左側に廉佳の身体が密着して意識せずとも心拍数が上がってしまった。
「千世にぃのサンドイッチ美味しそう! 一口ちょうだい」
「自分のハンバーガーがあるでしょ。……仕方ないなぁ、はい」
「あーんっ――……ん~、美味しいね。俺のも食べる?」
「じゃあ一口だけ…………あっ、美味しい」
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