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第199話

 兄弟でそれぞれ頼んだものを食べ合っていると、廉佳がテーブルに肘を付いて手の甲に頭を乗せているのに気が付いた。 「廉佳さん、食べないの?」 「食べる。食べるけど、今は心がお腹いっぱいなんだ」 「は、はぁ……」  どうやら食べる前から満足してしまったらしい廉佳の横顔は至って真面目だ。それは良いのだが、何に満足したのだろう。 「なぁ、俺思ったんだ……この光景、すごくBLっぽいって」 「廉佳さん!?」  何を言い出したのかと思えばそんなことか。  そんなことと言っては失礼だが、あまりにも思い詰めたように言うので心配して損した気分だ。 「でもさ、そんなの今更じゃない? 俺たちそれぞれが千世にぃと付き合ってるんだし」 「そうだけどそうじゃないんだ。なんつーか、自分がその輪に入るのと外から眺めるのは違うんだよ」  とにかく、千世と泰志のやりとりが廉佳の眼を喜ばせていることは確かだった。  だが何故だろう。先日のイベントの時は、自分に抱きついてくる泰志を周りの女性たちにそういう眼で見られるのは抵抗があったのに、廉佳の場合は全く嫌悪感がない。むしろ照れ臭いくらいだ。 「なんか廉にぃも嬉しそうだから、堂々といちゃいちゃできるね」 「えっ、そういう問題じゃないでしょ」 「細かいことは気にしないでいいじゃん。はい、俺のドリンクも飲んで良いよ」 「あ…ありがと」

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