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第202話
空が赤橙に染まるまで遊園地を楽しんだ三人は、そろそろ最後のアトラクションに乗ろうかと相談していた。
昼食の後は、巨大迷路に入ったり、ポップコーンを食べながら歩いたり、はたまた廉佳と泰志が地上に千世を残してジェットコースターに乗ったりした。どれも時間を忘れるくらい楽しくて、全員が好きなものに乗ることができたから大満足だ。
帰ることに名残惜しさを感じながら、千世が次に選んだのはあの乗り物だった。
「ねえ、観覧車はどうかな? 夕陽が綺麗に見えると思うな」
色とりどりのゴンドラがたくさん回っているそれは、子供の頃に三人で乗った思い出を彷彿ほうふつとさせ、とてつもなく大きく見えた。
「ラストにああいう落ち着いたものに乗るのも良いな。並びに行くか」
廉佳の一言で歩き出した三人は、観覧車の麓ふもとまで来るとその列の中に加わった。並んでいた人数の割に待ち時間はそれほど長くなく、千世たちは黄色のゴンドラに通された。
「おおー動いた! 千世にぃ廉にぃ、動いたよ!」
「そりゃ観覧車はずっと動いてるだろ」
「あはははっ、そうだね~」
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