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第212話

   ***  観覧車を降りると、辺りはもう夜と言って相応しいほど暗かった。闇の迫る速さが、もうすぐ冬がやって来ることを教えている。 「帰るか」と短く告げた廉佳に従って、三人は遊園地を後にした。昼間、最後にお土産でも買って帰ろうかと話していたことを三人ともすっかり忘れ、口数が減っていることに頓着もせず、色とりどりの人工光で煌めく街を歩く。  帰りの道のりは果てしなく遠く感じられた。  電車に揺られて一時間半。やはり来る時ほど会話も弾まず、ようやく辿り着いた廉佳の家で千世と泰志はまるで自分の家であるかのように自然にそこに入った。  相変わらずこの家には人が居ない。しんとしたリビングを通り過ぎ、静かに階段を上る。  廉佳の自室まで通されるやいなや、両側から二人に抱きつかれた。 「はぁ~、もう限界」 「電車の中でも我慢するのがやっとだったぞ」 「俺も、早く千世にぃが欲しいよ」  右から泰志、左から廉佳が次々に腕を絡めてくる。二人はばさばさと上着を脱ぎ捨て、千世のそれも脱がしてからベッドに腰掛けさせる。  さっきまで遊園地で楽しんでいたはずなのに結局はこのベッドに戻ってきてしまうのだと思うと、不思議な縁で繋がっているような気もした。  セミダブルのベッドは三人の重さにぎしりと唸り声を上げ、千世の鼓動が緊張と羞恥で跳ね上がる。

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