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第215話

 ベッドに乗り上げた廉佳に言われるまま、千世は大人しく細い腕を後ろに回す。  重ねた前腕にしゅるりとネクタイが巻き付けられ、何周かさせた後できゅっと絞められた。 「大丈夫か? キツくないか?」 「うん、平気だよ」  身体の自由を奪うために縛っているのに、随分と優しい扱いだ。そのギャップが何だか可笑(おか)しくて、千世は口元を緩ませる。  まあ、そこが彼の良いところでもあるのだけれど。 「っ――」  最後に結び目を作ったところで息が漏れてしまった。  だがそれは苦痛を感じたためではなく、いよいよ腕が使えなくなってしまったことによって彼らに支配されるのだという意識が高まったからだ。一体何をされるのだろうという恐怖と、迫り来るであろう快感への期待が入り交じる。 「千世、痛かったりしたら言えよ」 「ん……大丈夫」  腕どころか上半身が上手く動かないけれど、そんなことにも気持ちが昂ぶってしまう自分に正直驚いた。縛られただけなのに、神経がいつもより二倍も三倍も尖っている気がする。 「どうだ千世。今どんな感じ?」 「どんなって……特に、どうもしないけど」  少しだけ嘘をついてしまった。こんなことで鼓動が速まっていることを隠したくて。 「そうか。なら始めるぞ」  行為の前に改めて宣言されることなんてないから、変に緊張してしまう。千世は平然を装おうとしていたせいで逆に何も言えなかった。  狭いベッドの上で千世の身体は寝かせられ、後ろ手になっているせいで、呼吸のたびに上下する胸が強調される。

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