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第232話
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ぐぅ~っ、と腹の虫が情けない音を立てる。
千世は夜明け前の暗い部屋のベッドで、うとうとしながら目を覚ました。
あれから一度目を覚まし、よろめきながら風呂に入ったはいいものの、夕食を食べる気力もなくて電池が切れたようにぱったりと眠り込んでしまったのだ。
(いま……何時だろう)
壁に掛かっているはずの時計は、周りが暗くて見えなかったのでヘッドボードに置いてあるスマートフォンに手を伸ばす。たまたま取ったのが泰志のものだったが、兄弟それぞれの持ち物に区別などあってないようなものなので拝借 することにした。
電源ボタンを押すと、明るい画面が千世の顔を照らす。
(六時一分かぁ)
中途半端な時間に起きてしまったものだ。月曜日は一限から授業があるから、二度寝をして寝坊するのも嫌だ。
「んん~~……」
肌寒い十一月の朝。腰の怠さも相まって、布団から出るのは億劫だった。
千世はスマートフォンを元の場所に戻すついでに伸びをする。廉佳に借りたスウェットは、腕を上げても指先が出ないくらいぶかぶかだったが、彼の匂いに包まれていてとても安心する。
(そういえば、さっきから胸が重いような)
というより、何かが乗っかっているみたいだ。
千世は暗順応した眼で自分の右側を顧 みる。
(れ、廉佳さん!?)
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