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甘い敗北

志狼は鉄平を胸に抱いて、広いベッドに横になった。そして落ち着かせるように、鉄平のアッシュグレイの髪を優しく撫でた。 「タマ。ごめんな。びっくりしたよな」 「……うん」 泣き止んだ鉄平が、すりすりと志狼の逞しい胸に頭をすり寄せた。 その子猫が甘えるような仕草に、志狼はたまらなくなってしまう。 鉄平の顔を上げさせ、そっと触れるだけのキスをした。逃げずに口付けを受ける鉄平に、少し安堵する。 ちゅ、ちゅ、と啄ばむようにキスをして、舌で鉄平の唇を突ついて開くよう優しく促した。 鉄平が薄く唇を開いて、志狼の舌を受け入れる。 「……んっ……」 志狼は深く、甘く口付けた。最後まで優しいキスだった。そっと唇を解いて、志狼は鉄平の様子を伺うように聞いた。 「……タマ。その、続きをしていいか?」 志狼の雄は硬いままだ。 「最後まで、エッチするの?」 「……嫌なら我慢する」 低く唸るような声で志狼が言った。 いつも強引な志狼が、珍しく鉄平の気持ちを優先したことに鉄平は驚いた。 マジマジと志狼の顔を見る。 相変わらず男の魅力に溢れているが、下肢に溜まった熱に眉根を寄せ、少し辛そうだった。 欲望を宿したエキゾチックな青い瞳が、鉄平にお伺いを立てている。 ───しろう……。 こんな志狼は初めてで、鉄平は心臓がドキドキしてくるのを感じた。 華奢な腕を上げて、志狼の太い首に絡めて引き寄せた。 「優しくしてね」 照れ笑い顔の鉄平のあまりの可愛いさに、むしゃぶりつきたいのを志狼はぐっと耐えた。 「わかった」 志狼は再び鉄平にキスをして、ゆっくりと華奢な体を組み敷いていった。 ▫ ▫ ▫ ▫ ▫ ▫ ▫ ▫ ▫ ▫ 「あっあっ……んぅ、は……あぁあ!」 対面座位の体位で、志狼の逞しい腕に抱かれて、志狼の膝の上で鉄平が甘く鳴いた。 少しの距離も離れるのは嫌だとばかりに、志狼は鉄平を強く、深く、その腕の中に抱いた。 ゆるゆると腰を回して、鉄平の性感を高める。 「あっ……しろぉ……あぁあ」 鉄平の小さな頭を大きな手で抱え、キスをして、深く舌を絡ませる。 「……ん、ん……ふぅ…あ……ん」 「……タマ」 まるで猫がゴロゴロと喉を鳴らすような表情で、気持ちよさげに鳴く鉄平に志狼の心臓が早鐘を打つ。 この少年が可愛くて仕方ない。 もう志狼は鉄平を手放すことができないと痛感していた。 今まで誰にも本気にならず、あと腐れのないセックスだけをしてきた男が、こんな小さくて平凡で、無知で無垢な少年に囚われたのだ。 鉄平を抱きながら、志狼は敗北感に似た感情を味わっていた。 だが、それはとても……とても甘い敗北だった。 志狼は繋がったまま、そっと鉄平をベッドに横たえた。 ゆるゆると腰を回しながら、鉄平の頬に張り付いたアッシュグレイの髪を優しく梳いた。 その柔らかな触れ方に、鉄平は閉じていた目を開いて志狼を見上げて、ハッと息を呑んだ。 ひどく優しくて、真剣な眼差しで鉄平の顔を見ていたから。 「……なんで、そんなに……見てるの?」 「ん?……見ていて飽きないなと思って」 志狼は鉄平の頬に頬をすり寄せて囁いた。 「お前をずっと見ていたい……鉄平」 ふいに蕩けるような甘い声で名を呼ばれ、鉄平は小さく震えた。 その震えは内側にも響き、体内に深く埋まる志狼の雄を心地良く締め付けた。 「……あぁ。気持ちいいな」 「ぁ……あ、ん」 そして志狼はもう一度、鉄平に甘く口付けた。 「……ん、ん……むぅ、あ! しろぉ」 徐々に腰の動きが激しく、情熱的になる。 「あっ! あっあっ───ッあぁああ!」 志狼は鉄平を腕の中に閉じ込めるように抱きしめた。 激しく揺さぶられる鉄平は、振り落とされないよう必死で志狼の逞しい背に縋り付く。 お互いに、これ以上ないくらいに抱き合って、絶頂を目指した。 「あっ! あ! あ!……はぁあ!……ぅう、あ!」 「ああ……鉄平……」 「あっ……しろ…ぅ……も、イク───ッ……ぁああっ!!」 「……鉄平ッ!!」 志狼は限界まで鉄平のアナルに男根を付き入れて、すべてを注いだ。 鉄平も志狼の逞しい腹に擦り付けるようにして、絶頂に達した。 ハァハァと、二人して荒い息を吐き、繋がったままグッタリと脱力した。 二人とも、今日はひどく離れがたく感じていた。

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