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『明日、旅館を予約したから♪』
うとうとしていると、スマホが鳴った。
「え?旅館?」
想像しただけでドキドキが止まらない。
『今日、仕事だったんだね。旅館、楽しみ!』
部屋のチャイムが鳴る。
慌てて、玄関に走っていくと、舜が靴を脱いでる所だった。
「返信なかったら、帰ろうと思ってた。」
ちゅっとキスをされて、頬が熱くなる。
「舜、疲れてない?」
「疲れてるよ。だから、明さんに癒されに来た♪」
「コーヒー飲む?」
「もらおうかな♪」
にっこり笑うと、かわいくて、きゅんとしてしまう。
本当に恋人なのか、未だに半信半疑だ。
僕がコーヒーを入れてると、舜は後ろから抱きついて、背中にもたれ掛かってきた。
「ねぇ、土日の休みもらうの大変だったんだからねぇ。」
背中が舜の温もりでぽかぽかしてくる。
「僕のため?」
「当たり前でしょ。明さんに平日休みを取らせるわけにはいかないよぉ。」
「そんな。相談してくれたら良かったのに。」
「いいの。僕が明さんと長く居たかったから、頑張ったの。」
本当にかわいい。
なんで、こんなにかわいい子が僕なんか好きなんだろう。
「明さん?明日、レンタカー借りてるから、朝ちゃんと起きてね?」
「レンタカー?そこまで準備してくれたの?」
コーヒーを運ぶ時も舜は電車ごっこのようにくっついたままだ。
「うん。だって電車じゃいちゃいちゃできないじゃん。」
隣に座ると舜がもたれ掛かってきた。
コーヒーを両手で持ってるところもかわいい。
「そうだね。舜、ありがとう。」
「その代わり、明さんにはたっぷり尽くしてもらうからね。」
「こ、怖いなあ。」
「ちゅぅして~。」
コーヒーを置いて、首に腕を回してきた舜のおねだりが始まった。
唇を重ねると暖かくて、コーヒーの匂いがした。
「もぅ、そんなんじゃ足りないよぉ。」
舜の激しいキスの応酬にあった。
「シャワー、借りる。」
キスをひとしきりすると、だらだらと歩きながら浴室に入って行った。
(疲れてるんだなぁ。先週もひどく疲れてたし。早く寝かせてあげないと。)
カップを片付けて、明日からの泊まりの準備をしているとふら~と舜が出てきた。
髪からは雫がしたたっている。
「ちょっと待って、舜。髪だけ乾かそう。」
「う~ん。」
電池切れの舜は僕に促されるまま座ると、黙って髪を預けた。
ドライヤーで、乾かすと、シャンプーの香りが心地いい。
いつも自分が使っているシャンプーなのに、舜からする香りは別物のように鼻をくすぐる。
舜の髪をわさわさしながら、乾かしていると、ゆっくり右に倒れていった。
「え?寝ちゃったの?」
舜はすうすうと寝息をたてている。
「疲れたんだね。よく頑張りました。」
僕は舜を前から抱えると、そっとベッドに横たえた。
長い睫毛が色っぽい。
僕は思わずキスをすると、明日の準備をして隣で眠りについた。
心地よい舜のぬくもりを感じながら。
「舜、おはよう。」
僕は朝ごはんの準備をして、舜を起こしに行った。
「明さん…。」
寝ぼけた顔の舜はそのままキスをしてきた。
心臓がいくつあっても足りない。
こんなに毎回ドキドキしてたんじゃ、心臓発作で死んじゃいそう。
「朝ごはん食べて、レンタカー屋さんに行こう?」
「うん。」
舜はとっても素直でかわいい。
いつもは舜が先に起きて何でもしてくれていたから、寝起きの舜を見るのは初めてだ。
「顔洗ってくる。」
舜は顔を洗ってくると少し目が覚めたみたいで、そのあとはてきぱきと準備を始めた。
僕は食器を洗うと、電化製品の電源を落とした。
「明さん、そろそろ出られる?」
「お待たせ。いいよ。」
鞄を持って、外に出ると、子供の時の遠足のようにわくわくした。
舜はレンタカーを借りるだけじゃなく、デートプランまでしっかり考えてくれていた。
あんな夜中に帰ってきて準備するのはどんなに大変だっただろう。
その事を思うと幸せでいっぱいになる。
舜は楽しそうに僕の手をひいて行ってくれた。
車の中でも運転しながら、僕の手を握ってくれた。
旅館に着いてからも、舜はてきぱきと手続きをしてくれた。
仲居さんが目をハートにして、舜を見てるのがわかる。
あんなかわいい見た目とは違って、この後の流れを旅館の人と話している姿はカッコいい。
一通り話が終ると僕を振り返って、
「待たせてごめんね。行こう♪」
と、笑顔で手をひいてくれる。
僕も仲居さんもそのギャップにいちころだった。
部屋に入ると、露天風呂が視界に入ってきた。
「こんないい部屋とったの!?」
「うん♪明さんとの初のお泊まり旅行だから、奮発しちゃった。」
「ありがとう、舜。でも、後でお金払わせて、こんなにいいとこ、舜だけに払わせる訳には行かないよ!」
すると、後ろから抱きついて来て、
「体で払ってもらうから、大丈夫♪」
「え?」
僕はたちまち真っ赤になるのを感じた。
「耳まで赤いよ。」
耳をペロッと舐められた。
「ひゃっ。」
思わず変な声が出た。
くすくす笑うと
「少ししたら、ご飯が来ちゃうから、続きは後でね。」
と、首にキスをされた。
僕の心臓はドキンドキンと大きな音を立てた。
いつもは飲まないのだけれど、和食に合うからと、日本酒を飲んだ。
料理がとっても美味しくて、僕はすっかりテンションが上がっていた。
仲居さんにお布団を強いてもらうと、僕は急にドキドキが止まらなくなった。
「明さん、お風呂、入ろ♪」
「う、うん。」
手を引かれて、露天風呂にはいる。
程よい温度で、力がぬける。
舜はため息をつきながら、
「はぁ。気持ちいい。」
と目をつぶっている。
唇が色っぽくて見とれてしまう。
舜が目を開く前に、視線を移す。
すると、舜が僕の伸ばした足に向かい合って座ってきた。
肩に腕をのせられて、まっすぐ見つめられる。
お互いしばらく何も話さず見つめあっていると、どっちからともなく、唇を重ねた。
くちゅくちゅといやらしい音が耳に届く。
「早く体洗って、お布団に行こう?」
舜が甘えた目で見てくる。
僕は言われるがままお互いの体を洗った。
もう、二人のあそこは次の事が待ち遠しくて熱くなっていた。
泡で擦られると気持ちよくて、興奮が増すばかりだった。
お互いの体を拭きあうと、髪は濡れたま、浴衣を適当に羽織って、部屋に向かった。
「明さん。」
背中から、抱きついてきたかと思うと、柱に押しつけられた。
「舜?」
手を捕まれると、帯で両手を縛られた。
そして、僕の帯を外すと今度はその両手を柱に縛り付けられた。
「舜?!何を?」
「明さん、温泉と言えば、こうでしょ?」
くすくす笑うと首筋にキスをしてきた。
「こう、って何?」
僕の動揺にはうてあってくれない。
首筋にキスをしながら、今度は僕のそれを擦り始めた。
「あっ、舜。こんな格好嫌だよぉ。」
舜は僕を置いて離れると鞄から何やら取り出している。
「何、してるの?」
「気持ちよくなるものをたくさん持ってきたんだ♪」
「そんなのいいよぉ。これ、外して。」
「このままが興奮すると思うよ♪」
「ひゃっ!」
浴衣を目繰り上げて肩にかけると、僕のお尻に冷たいものがかけられた。
「明さん、一つになろうね♪」
ぬぷっという音と共に、何かが入ってきた。
「ぁあっっ。舜、ちょっと待って。」
「この間から、ここ触っててくれてた?すんなり入ったよ♪」
「舜、出したり入れたりしないで。」
「しないで欲しいの?じゃあ、入れっぱなしにしてあげる。」
じゅぶっと冷たいものが入ってきた。
「これでいい?」
「何を入れたの?」
「さあ。」
くすくす笑うと、僕の腿を舐めあげる。
すると、感じたことのない波が押し寄せてきた。
「ぁあっ!!何、これ?とって!変だよぉ!」
「入れっぱなしがご希望なんでしょ?」
「あっ、あっ、ぁあっ!!抜いて!」
「すごいね。そんなにいいんだ。」
「ねぇ、なに入れたの?」
「エネマグラ。って言っても知らないでしょ?」
「それ、何?っはぁあ!」
「勃起させる器具。」
「もう、とって!お願い!」
「そんなに大きな声出したら、隣に聞こえちゃうよ?」
「ぅんんっ!!はぁあっ、はぁあ。辛いよぉ。」
「かわいい、明さん。」
舜は僕の涎が垂れている先をペロリと舐めて、口に含んで、ピストンし始めた。
「ぁあっっ、あっ、あっ、んぅうんっ…。」
膝がガクガク震えてきた。
「イキそうっ。舜、出ちゃうよぉ。」
「ひっていいひょ。」
「含んだまましゃべらないでぇ。っあぁあ!」
僕は舜の口の中で果てた。
「舜、もうほどいて。痛い。」
「ごめん、興奮するからやめられない。」
舜は真顔でそういうとキスをして、おしりのそれを抜いた。
指でぐりぐりとかき回されるとイったばかりなのに、もう勃起し始めた。
「明さん、僕、余裕ないから。」
そう言うと穴に熱いものを押し当て、こじ開けながら中に入ってこようとしてくる。
「無理だよぉ。入らないって。」
僕の叫びは宙に響き、どんどんと中に熱いものが入ってくるのがわかる。
「ぁあっ。舜、待ってぇ。はぁあっ。」
「余裕ないんだってば。煽らないで。我慢してゆっくり入れてるんだから。」
「煽ってなんか。ぁあっ。」
入ってきていたのが、急に引かれたせいで、すごい快感が押し寄せる。
「ダメ、我慢できない。こんなに中が気持ちいいなんて知らなかった。」
舜はぐぐっと無理に押し込んできた。
「痛いっ!舜、やめてよぉ。」
「ごめん、本当に止めれない。明さんの中、気持ちいい。」
そういうと腰を動かし始めた。
「ぁあっ、明さん、すぐイキそう。」
「舜っ!あっ、あっ、あっ…。」
舜の手が僕の棹を激しく擦りあげる。
突かれている快感と擦られている快感で頭の中が真っ白になった。
二人のあえぎ声が響く部屋は異様な空間のようだった。
夢なのか現実なのかさえ見失いそうな快感。
腕をほどかれると支えを失って、ペタンと座り込んだ。
その背を支えながら、舜が囁く。
「明さん、ごめんね。」
「大丈夫だよ。」
虚ろな目で舜に答える。
「ごめん。」
と言うと、舜は布団に僕を寝かせた。
次の瞬間、イッたばかりのそこを舐められて体が跳ねた。
「舜、何しているの?」
「明さんの気持ち良さそうな姿見たら、僕の中にも入れたくなって。明さんはそのままでいて、僕がするから。」
「ちょっと、もう勃たないって。」
力なく言っても、舜の愛撫は止まらない。
さっき果てたのに、またその快楽によって僕のそれは固くなってくる。
「もう入れちゃうね。」
舜は自分で整えると、ゆっくりと腰を沈めた。
「ぁあっ。明さん、気持ちいい。」
腰をくねらせる舜は艶やかで、月の光を受けて神秘的な感じさえする。
汗で光るその肌が透き通るように美しい。
「舜、気持ちいいよぉ。」
舜はにこっと笑うと僕の唇にもさぼりついた。
下半身も唇もぴちゃぴちゃと卑猥な音をたてている。
僕は三度目とは思えないほど早く果てた。
舜は、それを触ってもいないのに、射精をした。
僕のそれだけで果ててくれたことに幸福感が込み上げる。
息切れして、二人の吐息がやまない。
舜はコロンと隣に寝転がると、僕の腕に頭をのせて、首に寄り添ってきた。
「こんなに気持ちいいの初めてだったよぉ。」
話す吐息が首にかかってくすぐったい。
「僕は壊れるかと思ったよ。」
くすくすと笑うと首筋にキスをしてきた。
「愛してる。」
舜がとっても落ち着いた声で言ったので、ドキンとした。
僕も体を横たえて、舜と向き合う。
「僕も愛してるよ。」
舜のキスはいつもと違って優しく、包み込むようで、僕はどんどん惹かれていった。
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