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小悪魔の手の中で

教えてもらった住所は分かりやすかった。 エントランスで、部屋の番号を押す。 程なくして、舜の声がした。 「今、開けるね♪」 久しぶりに聞いた声に胸が詰まる。 部屋の前で再びチャイムを押すと、待っていたようにすぐに開いた。 「いらっしゃい♪」 ずっと見たかった舜の笑顔に胸がいっぱいになった。 涙が止めどなく流れてきた。 「え?明?大丈夫?」 いつもみたいにすっと手を引いて僕を部屋に導いてくれた。 「座って?ほら、ティッシュ。」 舜は僕を座らせると、ティッシュで涙を拭いてくれた。 「タオルがいいかな?」 洗面所に走ってタオルを取ってきてくれた。 「よしよし、していい?」 僕はコクンと頷く。 舜の温かい掌が、僕の頭を優しく撫でる。 僕がひとしきり泣くまでずっとよしよししてくれていた。 「少しは落ち着いた?いきなり泣き出すから、びっくりしちゃった♪」 くすくす笑いながら、コップにお茶をついできてくれた。 舜の笑い声を聞いていると、心がみるみる立ち直ってくるのが、わかった。 (やっぱり舜といたい。) 僕は立ち上がると舜に抱きついた。 「会いたかったよぉ。」 震えた声でやっと言えた。 「僕も。」 舜は柔らかい声で囁くように言った。 舜は僕の背中を擦りながら、よしよししてくれた。 全てを受け止めてくれるみたいに。 「舜、ごめんね。僕、怖くて。」 「いいよ。わかってる。」 「嫌われたくなくて。」 「嫌いになるわけないでしょ?こんなに愛してるのに。ねぇ、顔を見せて。ずっと泣いててまだ顔が見れてない。」 僕は手で涙を拭いながら、舜を見た。 舜はにっこり笑って、 「おかえり。」 と言った。 僕はまた胸がいっぱいになって、涙が止まらなかった。 舜はソファに座ると膝枕をしてくれた。 ずっとよしよしされて、僕は疲れて寝てしまった。 目が覚めると、いい香りがしていて、お腹がなった。 「ご飯、たべよ♪」 夜ご飯は舜の得意なビーフシチュー。 温かいシチューが僕の心を溶かしていった。 舜は何もなかったように楽しそうに笑った。 本当に幸せそうに。 僕はその笑顔に、見惚れていた。 「その指輪、見つけてくれたんだね。」 「これ、やっぱり舜の?」 「ううん。明のだよ。」 「え?」 「実は数週間前、我慢出来ずに明の家に行った。明が仕事してる時間に。それで、その指輪に賭けることにした。明がこの細いリングを見つけてくれたら、きっと僕の所に来てくれる。でも、見つけられずに捨てられれば、諦めようって。ごめんね。勝手に行ったりして。待ってるように見せかけて、実は我慢できなかった。カッコ悪いね。」 「ううん。嬉しいよ。僕は何も行動に移せなかったから。舜、すごいね。」 「ねぇ、もう1つ我慢できなくなってきた。」 「え?」 「ねぇ、キスしよぉ。」 甘える声でそういうと、舜の手が僕の頬に触れた。 (震えてる?) 舜は今にも泣き出しそうな顔で僕を見つめている。 「舜?」 「明、していい?もう、突き放したりしない?」 舜の瞳からポロリと涙がこぼれた。 あの日、自分だけが傷ついたんだと思ってた。 舜の心もひどく傷ついていたんだね。 何も気づいてあげられなくてごめんね。 僕は舜の首に腕をまわし、唇を重ねた。 舜の涙の味がした。 舜の唇は震えていた。 何度も離しては重ねを繰り返し、時を取り戻そうとした。 もうあの日の感覚なんかなかった。 ただ舜を感じるだけだった。 「舜、しよぉ。」 僕たちは愛を確認するように1つ1つにキスをしながら、肌を露にしていった。 舜に手を引かれて寝室に行く頃には、二人とも高揚していた。 二人でお互いのそれを舐めた。 あまりの快感に身をくねらせながら、何度も液をすすった。 舜は自分のそこを解すと、僕の上に股がった。 ぬるりとした、その中は温かく僕を包んだ。 舜はゆっくりと味わうように腰をくゆらせ、僕は何度も快楽の波に耐えた。 「舜、一緒にイこう。」 「うん。」 紅潮した肌から、汗が滴る。 上半身を起こし、舜の乳首を舐める。 舐めると、きゅぅっと締まる。 舜は快楽で、目が虚ろになっている。 だらだらと涎を垂らしている棹を優しく愛撫する。 「あっ、ぁあっ、明、イキそう。」 「僕もだよ。ぁあっ、はぁあ。」 「「ぁあっっ!」」 ビクンビクンと穴が締まると僕の精液がどんどんと搾り取られた。 舜が激しくキスをしてきた。 いつもの舜のキス。 好きだよ、愛してるよ、って、舜の思いが僕に流れ込んでくる。 「好きだよぉ。」 とろんとした目で、舜が言う。 「好きだよ、舜。」 僕は優しくキスをした。

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