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アツにバレた・・・かも
月曜の朝を迎えーー。
寺田さんに、学校まで送って貰った。
アツは、隣で、腕を組み、押し黙っていた。
まだ、怒ってるのかな⁉
まだ、機嫌悪いのかな⁉
どう声を掛けていいか分からなくて、ずっと下を見てた。
車から下りて、ようやく二人きりになり。
「一昨日から、あまり寝ていなんだろ⁉」
唐突に聞かれて、「あ、う、うん」思わず声が、上擦った。
「一昨日も、昨夜も、佳兄が側にいたら、まぁ、そうなるか・・・」
「・・・えっ⁉何で、知ってるの⁉」
「未央が心配で・・・ごめん、盗み聞きつもりはなかったけど」
どうしよう、アツにバレたかも・・・。
呼吸が急に苦しくなってきた。
頭もなんだかクラクラしてきた。
もう、どこ見ていいか分かんない。
「顔、真っ赤だよ・・・大丈夫⁉」
「うん、ごめん・・・」
アツが深呼吸して、雲一つない青空に向かって、ぐいっと背伸びをした。
「・・・俺の事・・・だろ⁉」
回りにいる生徒の話し声が五月蝿くて、何を言われたのか、よく聞き取れなかった。
「ごめん、もう一回」
「だから・・・好きなんだろ、俺の事⁉」
「・・・‼」
吃驚し過ぎて、思わず立ち止まってしまった。
「ううん・・・」
ぶんぶんと首を振った。
だめ、だめ、だめ‼
自分の気持ちに蓋しないと・・・。
立場をわきまえろって佳大さん。
僕は、彼の妻になって、跡取りを産まないといけない。
父さんや、父さんの会社や、産まれてくる弟を守るためなら、僕が、我慢すればいいだけの事。
昨夜、僕の決意を佳大さんに伝えたら、一昨日の夜の彼とはまるで別人のように、すごく、優しくしてくれた。
エッチな事、ちょっとされたけど・・・。
「頑固なのは、相変わらずだな」
アツが苦笑いを浮かべてた。
「なぁ、このまま、どっか行かない⁉」
アツに急に言われて、訳がわからず、きょとんとしてしまった。
「たまにさぼるのもいいかもな」
ぐいっと、手首を掴まれて、校門に向かう生徒たちとは逆の方向に歩き出すアツ。
「ちょっと、待って‼」
「待たない。寺田に見付かったら大変な事になる」
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