9 / 120

アツにバレた・・・かも

月曜の朝を迎えーー。 寺田さんに、学校まで送って貰った。 アツは、隣で、腕を組み、押し黙っていた。 まだ、怒ってるのかな⁉ まだ、機嫌悪いのかな⁉ どう声を掛けていいか分からなくて、ずっと下を見てた。 車から下りて、ようやく二人きりになり。 「一昨日から、あまり寝ていなんだろ⁉」 唐突に聞かれて、「あ、う、うん」思わず声が、上擦った。 「一昨日も、昨夜も、佳兄が側にいたら、まぁ、そうなるか・・・」 「・・・えっ⁉何で、知ってるの⁉」 「未央が心配で・・・ごめん、盗み聞きつもりはなかったけど」 どうしよう、アツにバレたかも・・・。 呼吸が急に苦しくなってきた。 頭もなんだかクラクラしてきた。 もう、どこ見ていいか分かんない。 「顔、真っ赤だよ・・・大丈夫⁉」 「うん、ごめん・・・」 アツが深呼吸して、雲一つない青空に向かって、ぐいっと背伸びをした。 「・・・俺の事・・・だろ⁉」 回りにいる生徒の話し声が五月蝿くて、何を言われたのか、よく聞き取れなかった。 「ごめん、もう一回」 「だから・・・好きなんだろ、俺の事⁉」 「・・・‼」 吃驚し過ぎて、思わず立ち止まってしまった。 「ううん・・・」 ぶんぶんと首を振った。 だめ、だめ、だめ‼ 自分の気持ちに蓋しないと・・・。 立場をわきまえろって佳大さん。 僕は、彼の妻になって、跡取りを産まないといけない。 父さんや、父さんの会社や、産まれてくる弟を守るためなら、僕が、我慢すればいいだけの事。 昨夜、僕の決意を佳大さんに伝えたら、一昨日の夜の彼とはまるで別人のように、すごく、優しくしてくれた。 エッチな事、ちょっとされたけど・・・。 「頑固なのは、相変わらずだな」 アツが苦笑いを浮かべてた。 「なぁ、このまま、どっか行かない⁉」 アツに急に言われて、訳がわからず、きょとんとしてしまった。 「たまにさぼるのもいいかもな」 ぐいっと、手首を掴まれて、校門に向かう生徒たちとは逆の方向に歩き出すアツ。 「ちょっと、待って‼」 「待たない。寺田に見付かったら大変な事になる」

ともだちにシェアしよう!