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一途に愛されて・・・揺らぐ気持ち
(よし、食器洗い終了‼あとは、苦手な英語の宿題をやらないと・・・)
エプロンを脱いでいると、壁に掛けられてあるカレンダーがふと目に入った。
(今日は月曜日だから、金曜日まであと四日。意外と長い・・・明日が、金曜日なら良かったのにな・・・)
一つ溜め息を吐くと、背後で、クスッと笑い声がした。
「金曜日に何かあるのか⁉」
この声の主は・・・。
「よ、佳大さん‼いきなり現れないで下さい。吃驚した」
もしかして、聞かれてた⁉
一人言・・・。
「え、英語の少テストがあって・・・ぼ、僕、その・・・あんまり得意じゃないから・・・」
動揺しながらも、何とか言葉を繋げた。
変に思われたかな⁉
「それなら、明日から、家庭教師を頼んでやる」
「ほんと、大丈夫です」
「遠慮するな」
「遠慮してないです」
「そうムキになる所が・・・凄く可愛い・・・」
「な、何、言ってるん・・・ん、ん‼」
彼の長い指で上顎を掬い上げられたと思ったら、彼の口唇が僕の唇に重なっていた。
隙間から口腔内に侵入してきた、彼の舌が、歯列を舐め回し、逃げ回る僕の舌にまとわりつくと、ヂュルヂュルと音をたてて、激しく絡ませてきた。
(息、出来ない‼、苦しい‼)
彼の体をどかそうとするも、逆に、抱き寄せられて、腰をお腹に擦り付けてきた。
彼の体の中心は、すでに、形を変えて、その存在を主張していた。
「佳兄、あのさぁ・・・ごめん、取り込み中だった。あとでいいや」
理人先輩、頼人先輩、どっちだろう。
顔までよく見えなかったけど、まさか、佳大さんとエッチな事をしてる所を見られるなんて・・・。
多分、耳まで顔が真っ赤かに火照ってる。
「頼人、そこに置いといていいよ。未央と風呂に入ったら、目を通しておくから」
(風呂⁉今、確か、そう・・・)
「あぁ、悪い」
(あ~ぁ、また、ニヤニヤして見られてる。これじゃあ、針のムシロだ)
「来年の今頃には、甥っ子か姪っ子が産まれてるかも。なぁ、未央」
頼人先輩のイジワル。
「そうだな、俺と未央の赤ん坊。可愛いんだろうな。勿論、ママになった未央はもっと可愛い」
クチュッと、舌を吸われ、上唇を吸われ、唇の端から溢れ落ちた唾液を、ペロッと舐められた。
頼人先輩が見てる前で。
佳大さん、何、考えてるの⁉
「睨んだ顔も可愛い。風呂の中で、もっと見せてくれ」
ぐいっと、手首を掴まれて。
「ちょっと、待って‼宿題、やらないと‼」
「上がってからは駄目か⁉」
「英語と、現代社会と・・・あと、漢検の勉強しないと‼」
「分かったよ。じゃあ、終わるまで待っててやる」
「待ってなくていいです」
「俺は一緒に入りたい」
頼人先輩、呆れて笑ってる。
これじゃあ、単なる痴話喧嘩だ。
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