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忍び寄る別れの時
翌日の朝。目が覚めたら、アツに腕枕をしてもらい、彼の逞しい胸元に抱き寄せられていた。
「おはよう」すぐに彼と目があって、挨拶代わりに、唇に軽くキスをして貰った。
「すっごく、幸せ」
「俺も・・・。体・・・大丈夫⁉昨日、随分無理させたから」
「意外と丈夫に出来てるから大丈夫だよ。ありがとう、心配してくれて」
本当は、身体中、筋肉痛だけど。
彼に余計な心配を掛けたくなくて、わざと明るく振る舞った。
「じゃあ、良かった」
って、アツがニコニコの笑顔を見せてくれた。
彼の笑顔は、僕まで、笑顔にさせてくれるから、不思議。
「朝ごはんを食べたら、バスを下りた駅に送って貰おう。映画を観たり、買い物をしたり、恋人らしいことをする。これが、今日の目標な」
「うん‼」
アツと一緒に起きて、着替えをして。
ちらっと、彼の背中を見たら、首の回りに引っ掻き傷が生々しく残っていた。
「ごめんね」傷痕にそっと触れてみた。
「大丈夫、このくらい。それよりも、あまり、ベタベタ触らない方が・・・いいかも」
「何で⁉」
「だから・・・その・・・したくなるだろ⁉・・・抑えが効かなくなるだろ⁉・・・これだけ言っても分からない?」
アツ、ほどほど困ってた。
ごめんね、疎くて・・・。
ようやく理解した時、顔から火が出るくらい恥ずかしくなったのはいうまでもない。
「もう、アツのエッチ‼」
「未央だって、あれだけ気持ち良さそうに・・・」
「それ以上はだめ‼」
アツの事だから、出掛けないで、昨日の続きするよって、言いかねないもの。
それだけは、何としても避けなければ。
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