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ディネシュさん
オキーフの中心部。
近代的なビルが立ち並ぶ目抜通りに立地する、巨大なシッピングセンターの前で車が停まった。
「日本でいうデパート、カマラモールだ。未央、おいで」
佳大さんに手を引っ張られ、お店の中に入った。天井まで吹き抜けになっていて、明るく開放的な店内の中心には、イベントスぺースを併設した、七色に光輝く噴水が水音を響かせていた。二十分間隔で、最大で二階の高さまで噴出するみたい。
そのまま向かうと、レストランになっていた。
店内は、隅々まで綺麗に掃除が行き届いていて、塵一つ落ちていない。
白いテーブル席には、鮮やかな色とりどりの花がセッティングされてあった。
奥の厨房から、一人の男性が笑顔で近付いてきた。
清潔そうな白いシャツを身に纏ったその男性は、彫りの深い顔立ちと、褐色の肌を持っていた。
彼が醸し出すオーラは、厳かで。
それでいて、高貴な雰囲気を併せ持っていた。
どうしよう、挨拶しないと。
でも、僕の英語力で通じるかな。
戸惑っていると、彼の方が先に口を開いた。
あぁ~どうしよう‼
みんな早口で全然分かんないんだもの。
何を言ってるか。
「初めまして。ディネシュといいます」
あれ⁉日本語だ・・・。
しかも、すっごく、上手‼
「あっ、あの・・・鬼頭・・・未央といいます」
「知ってる。佳大の幼妻だろ⁉いゃあ~本当に、小さくて可愛い。噂通りだ。ずっと前から君に会いたくて、何度も、会わせろって佳大に頼んでも、全然会わせてくれなくて・・・ようやく念願が叶った。嬉しいよ。未央、宜しく」
「あっ、は、はい‼宜しくお願いします‼」
ディネシュさんは、かなり興奮気味だった。
佳大さんは、反対に、落ち着いていて、かなり憮然としていた。
あれ・・・⁉
なんで⁉
繋いだ手に力が籠められたのが分かった。
もしかして、これって、焼きもち・・・⁉
「未央は俺の‼人妻を口説きまくっているお前にだけは引き合わせたくなかっただけだ・・・」
「まぁ、固いことをいうな。味見くらいさせてくれるんだろ⁉」
「残念ながら、妻は妊娠中だ」
「はぁ、何それ⁉」
「『太陽の神』が聞いていたら今頃呆れているぞ」
二人の会話に付いていけずキョトンとしていたら、佳大さんがそっと教えてくれた。
「ディネシュは、太陽の神様という意味だ。ああ見えて、この国の第一王子だ」
だいいちおうじ・・・って・・・。
まさか・・・あの・・・。
えぇーーーー‼
腰を抜かすくらい驚いたのはいうまでもない。
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