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二度と電話してくるな‼
その日の夕方ーー。
夕食の準備をしていたら、目眩がして、ふらついた僕を佳大さんが抱き止めてくれて、そのままベットに運んでくれた。
「疲れと、暑さのせいだろう・・・大丈夫か⁉何か、飲み物を持ってくるから待ってろ」
エアコンの温度を調整して、キッチンへ向かう彼。ミネラルウォーターのペットボトルを手にすぐに戻ってきた。
「あとで飲んでもいい⁉」
「じゃあ、枕元に置いておくぞ」
いつもなら隣に潜り込んできて、好き勝手にイタズラを始めるのに。
今日は、珍しく大人しい。
「電話をしてくる、寝てろ」
そう言い残し寝室から出ていった。
電話?
さっき、ディネシュさんと話しをしていて、中途半端になったからだ。
(お仕事の邪魔をしちゃったかな・・・ごめんなさい)
何気にお腹に手が触れた。
ここにいるんだ、アツとの赤ちゃん。
まだ、信じられないけど・・・。
高望みはしない。ごく普通の子として、元気に産まれてきてくれればそれでいい。
「未央、電話」
ガタンとドアが開いて、佳大さんが入ってきて、慌ててお腹から手を離した。
「母さんが、話しをしたいって。そのままでいいから、無理に起き上がるな」
「うん、ありがとう」
彼は携帯を渡すと、すぐまた出ていった。
彼なりに、気遣ってくれたみたい。
「こんにちは」って出たら、『今晩わ』って返ってきた。
こっちは、六時前。日本は、八時前。ちょうど二時間の時差があることを、初めて知った。
『佳大から聞いたんだけど、妊娠したそうね。おめでとう。予定日はいつ?』
「えっと・・・六月末です・・・」
『そう。体を大事にするのよ。佳大には、無理させないように言ったから。そっちは、まだ暑いんでしょう⁉体調は⁉』
「今は何とか、大丈夫です。ご心配をお掛けしてすみません」
話しをしながも、頭の中はアツの事でいっぱいだった。
おばさん家にいるなら、アツもいるはず。
頼んだら、出してくれるかな⁉
どう、切り出そう・・・。
迷ったすえ、恐る恐る聞いてみる事にした。
「あの・・・アツは・・・その・・・」
『あぁ、アツ?元気よ』
「アツと話しがしたいんです。お願いです、アツと喋らせて下さい」
何とか言えた‼
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