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アツの優しさに触れて、募る想い

「お取り込みの所、失礼します」 颯爽と白衣をなびかせ入ってきたのは、乾先生。 迷うことなく真っ直ぐアツの許へ。 「君が赤ちゃんのパパさん?随分と若いようだけど幾つ?」 「十六です」 乾先生、アツの年齢を聞いて目眩がしたみたい。 「で、鬼頭さんとはどういう関係?」 「実の弟です」 「なるほどね」 先生は、アツの首根っこを掴むと、話しがあるからと引き摺っていった。 「ほら、鬼頭さんも」 佳大さんも声を掛けられ、渋々ながら付いていった。この前、みっちりお灸を据えられたばかりなのに・・・。 「未央ちゃんは、ほら、横になって少しは休まないと」 雅枝さんにそう言われ布団に潜ると、 お祖父ちゃんたちに、お茶でも如何ですか?と声を掛け、一階にある、カフェテリアに向かった。 それからどのくらい時間が経過しただろうか。 一人でいるのがだんだんと寂しくなってきた頃、アツが戻ってきた。 「先生、何て?」 「未央が心配することじゃないよ」 「でも・・・」 アツがベットの端に腰を下ろし、そっと頭を撫でてくれた。 「佳兄が・・・奏人は、家族全員で責任を持って育てます、そう言ってくれて・・・子供を持つには幼すぎるから、先生も色々と心配な所があるんだと思う。俺は、後悔していないよ。大好きな未央と結ばれて、奏人を授かる事が出来たんだから。その指輪も付けたままでいいよ。佳兄のしたことは許すことは出来ないけど、縁を無理に断ち切る事はしないくていいから」 「うん・・・ありがとうアツ・・・ゴメンネ・・・」 彼の優しさに触れる度、好きっていう気持ちが、感情が昂っていく。 「ーーキス・・・して欲しい・・・」 浅ましいと嫌われてもいい。 今は、ただアツを肌で感じ、会えなかった時間を少しでも埋めたかった。

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