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アツの優しさに触れて、募る想い

触れるか触れないくらいの、優しい口付けが、額や、目尻、目蓋、鼻梁、頬へと降る。 アツの唇が触れる度、彼の息が鼻に触れる度、彼の優しさ、情の深さに、涙が溢れ出そうになり必死で押さえた。 可愛くない顔を、大好きな彼には見せたくないもの。 可愛い顔だけ、見て欲しいもの。 「アツ・・・好き・・・」 「俺も」 思わず彼の首にしがみついた。 もう二度と離れたくない。 ずっと、アツの側にいたい。 「未央、苦し・・・」 「ごめんなさい」 慌てて、腕の力を抜くと、ずっしりとした彼の重みが体にゆっくりと覆い被さってきた。 「その・・・抑えが効かなくなるから、キス・・・一回だけな」 急に真面目な顔になるから、何事かと思ったら・・・。 アツって、本当、面白い‼ 「笑うなよ未央」 「だって、アツがあんまり変なこと言うから」 「こっちはいつだって真面目だ」 アツと他愛ない会話をして、じゃれ合ううち、ふと、目があった。 「奏人、焼きもち妬くかな?パパとママが仲良くしてるって」 「じゃあ、少しだけ、目を閉じてて貰う?」 「そうだな」 くすっと笑ったアツの顔がゆっくりと近付いてきて、目を静かに閉じた。 奏人、少しだけ目を閉じててね・・・。 いい子にしててね。 しっとりと濡れる彼の口唇が重なり、互いに感触を確かめるように、何度も角度を変え、口付けを交わした。 「アツ、そういえば学校は?」 「うちの高校には、短期留学制度っていうのがあって、学年に関係なく英語の成績が上位三位までの生徒を積極的に海外へ留学させているんだ」 「え”ぇーー‼そんなの、初めて聞いた‼」 「俺もだよ。未央や、奏人を迎えに行くにはこれしかない‼って思って、死ぬ気で頑張ったんだ。冬休みまで待っていられないから。万一、未央が心変わりして、佳兄の事、好きになったらどうしようって、気が気じゃなかったんだ」 「ごめんね、心配掛けて・・・」 「俺は、未央の事を信じているから、大丈夫」 自信たっぷりなアツ。 何だか頼もしくて、格好いい。 やだ、どうしよう。ますます惚れ直したかも。 「どうした?顔赤いけど」 「何でもないよ」 これ以上、アツの顔を見てたら、収拾がつかなくなっちゃうから、がばっと、布団を頭から被った。 アツ、こっちに二週間滞在できるみたい。 佳大さんが手配してくれた、シェアハウスに、お祖父ちゃん達と住んで、そこから地元の高校に通学するみたい。 アツと一緒にいれる‼ それだけで、不思議と心が幸せで満たされて、 アツに髪を撫でてもらううち、次第に、目蓋が重くなっていった。

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