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待ちに待った日本へ・・・待ち受けるのは深い闇
「アツ、どうしたら、佳大さんと仲直り出来る?」
「何を急に聞いてくるかと思ったら」
アツ、声に出して急に笑い出した。
「喧嘩はしてないよ」
「えぇーー‼だって」
「俺も佳兄も、基本無口だから」
「そうなの?」
佳大さんを見上げると、くすっと笑っていた。
「そもそも未央が二人いればいいんだ。そうすれば、取り合いにならず、丸く収まる」
「佳兄、未央の事、きっぱり忘れるって・・・」
「そんな事言ったかな?」
「はぁ⁉惚けるなよ‼」
喧嘩してないって・・・確か、さっき。
でも、これって、ちゃんとした喧嘩だよね?
「喧嘩はだめ‼アツも、佳大さんも落ち着いて‼」
二人を必死で静止した。
「お願いだから、仲直りして‼最後くらい、笑って別れようよ‼」
「最後・・・だと?」
佳大さんの眉がピクピクと動いた。
「未央の、故郷はここ、ガーランド王国だよ。昨日、無事、帰化の許可が下りたんだ。未央が妊娠してくれたお陰で、最優先で審査が通ったんだ。ちなみに、戸籍上俺達は、れっきとした夫婦だ。アツに返すとはいえ、離婚する気はさらさらないから、よ~く、覚えておけ」
「はぁ‼何それ‼聞いてないよ‼」
アツ吃驚してた。
僕も、そんなの寝耳に水で。
諦める、そう言った時点で、てっきり、帰化申請を取り下げたのかと思っていたから。
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