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家族とは

「アツ・・・だめ・・・」 こんな所を見られたらどうしよう。 恥ずかしさと焦りで頭の中はいっぱいなのに、彼は止めようとしない。 そればかりか、浅瀬をジュルジュルとわざと音を立てて吸いながら、頭をもたげ始めた僕のに、長い指を絡ませてぬちぬちと上下に軽く扱いてきた。 「両方はやだ・・・あぁ、ん、やぁ」 離れていた時間を埋めるかのようにアツの愛撫は濃厚なものだった。 腰が痺れてきて、女の子の蜜口が痛いほど疼き、蜜が止めどなく溢れ出ていた。 それを一滴残さずアツが啜り続け、そのいやらしい音に思わず耳を塞いだ。 「篤人様、お取込み中だとは思いますが・・・」 再び廊下から聞こえて来た寺田さんの声に、一気に現実へと引き戻させた。 「まだいたの?帰れって言ったはずだ」 舌の先で、入り口をぺろぺろ舐めながら、急に不機嫌になるアツ。 お気に入りのおもちゃを取り上げられまいと必死の抵抗を試みる。 まるで子供だ。 「未央様との結婚が先に延びるだけですよ。それでもいいんですか?」 「・・・それだけは嫌だ!!」 アツが口を離し、上体を起こした。 「分ったよ、塾に行くから。その代わり、今日は、未央の所に泊めて・・・下さい」 アツ、しゅんとして、項垂れていた。 その姿を前にどこかで見たことがあったような気がした。 そうだ佳大さん! 彼も、乾先生にお灸を据えられて、しゅんとしていたっけ。 流石、兄弟。似てる。 「塾に大人しく行って下さるのなら、あとは篤人様の好きにしていいですよ」 寺田さん言われ、口を尖らせながら渋々頷いて、ベタベタになってる下肢を綺麗にティッシュで拭いてくれた。 「絶対、戻ってくるから、寝ないで待ってて」 「うん、分かった」 「絶対だぞ」 ズボンを穿かせてくれて、その上、行ってきますのキスまでしてくれた。 中断されちゃったけど、心は充足感で満ち溢れ、すごく幸せ。 彼をベットの上で笑顔で見送って、ごろんと、そのまま横になった。 五分くらい経過して、ガタンと扉が突然開いた。 アツ、忘れ物したのかな? そんな事を思いつつ、体を起こし、扉の方に目を遣った。 そこに立っていたのは、アツじゃない。 もう二度と会うこともないと思っていた人。 怖くて・・・恐ろしくて・・・。 体が恐怖に戦慄く。 「・・・お父・・・さん・・・」 ガタガタと震える唇から、紡ぎ出された名前は、僕を捨てたまさにそのひとで・・・。

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