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僕にとって家族とは ・・・帰る場所は・・・

高校の校門のところで別れたきり、数か月振りの親子の再会。 あの頃と比べると、少しやつれた感じはするけど、見た目はさほど変わってはいなかった。でも、中身は・・・。 「突然いなくなるから、父さん、心配したんだよ。あちこちと随分探し回ったんだよ。まさか、入院していたとは・・・」 獲物を付け狙う肉食獣みたいに、父の目はギラギラと血走っていた。鼻息も荒く、ニタニタと卑猥な笑みを浮かべ、ベットの上に這い上がってきた。 じりじりと近付いてくる父のその姿は、あのときと全く同じ。 脳裏に忌まわしい情景が鮮明に浮かんできた。 「いゃーー‼来ないで‼」 後ずさりしながら、ありったけの声で叫んだ。 「未央、お父さんに、そんな悲しいことを言わないでくれ」 「僕には・・・父さんは・・・いない」 目に涙をいっぱい溜めて、ブンブンと頭を振った。 「そうかぁ、父さんはいないか・・・それなら、もう、誰の目も憚る事もないな。未央、愛してるよ・・・ずっと、ずっと前から・・・」 氷よりももっと冷たい父の手が、頬にじかに触れてきて、ゾクゾクと背筋に鳥肌が立った。 「触らないで‼いやだ‼」 壁に背中がついて、もはや逃げ場はない。 「泣くほど会いたかったのか。そうか、それなら、うんと可愛がってやらないとな」 鼻にかかる父の息は、酒と煙草の匂いがぷんぷんした。 吐き気がするくらい気持ち悪くて、頭がクラクラしてきた。 口付けされそうになり、咄嗟に、父の頬を叩いていた。 「ご、ごめんなさい・・・でも・・・こんなの、絶対おかしいよ。なんで、僕なの⁉あの人は?」 「あぁ、あいつか。あんな女より、未央がいいに決まっているだろ⁉気色の悪いお前を誰も相手にしないだろ?だから、父さんが可愛がってやると言っているんだ。四六時中抱いて・・・抱き潰し、父さんの子を産んで・・・佳大さんに抱かれるより、父さんに抱かれる方がもっと気持ちいいぞ・・・早速、試してみようか?」 父さんは、狂ってる。 僕の知っている優しい父の姿は、微塵もなかった。 「嫌だ‼絶対嫌だ‼」 何とかして逃げようとしたしたけど、父さんの大きい体が、僕の体に覆い被さってきた。 「いやーーぁぁ!!」 押し倒され、すぐに蛞蝓みたいにべとべとした父さんの口唇に、唇を奪われた。 もう、だめ・・・かも・・・。 あきらめかけた時、枕元のナースコールが目に入った。 僕はどうなっても構わない。 でも、奏人だけは守らなきゃ。 その思いで必死に手を伸ばした。

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