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あの人との再会

いってらっしゃいって、理人兄さんと、お父さん、お母さんを笑顔で見送った。サヨナラは言わない。だってここが僕のおうちだもの。 「アツ・・・」 泣かないって決めたのに・・・別れ際になって、どっと涙が溢れてきた。 「本当に泣き虫なんだから」 「ごめん・・・でも・・・」 鼻を啜りながら、手でゴシゴシと涙を拭った。 「未央・・・」 ふわりと、包み込む様に彼が抱き締めてくれた。 あったかい・・・。 彼の温もり・・・匂い・・・すごく落ち着く・・・。 「すぐ、会いに行くから」 涙に吞まれそうになりながら、アツの言葉に何度も頷いた。 「篤人様、そろそろお時間ですが・・・」 言いにくそうに寺田さんが声を掛けてきた。隣には、ヒーリーさん。早朝から、僕の荷物を、せっせとワゴン車に運んでくれている。 「あぁ、分ったよ。寺田、ヒーリーさん・・・未央を頼む」 「はい、お任せください」 「ダイジョウブ、マカセナサイ」 寺田さんと、ヒーリーさんに頭を下げ、アツは、後ろ髪を引かれる思いで、何度も後ろを振り返りながら、車に乗り込んでいった。 「未央様、私共も、出発しましょうか?」 「フクシマレッツゴー」 「はい。寺田さん、ヒーリーさん、お世話になります」   お腹に手を当てながら、頭を下げた。 (奏人、みんなに感謝しないとね・・・) 雅江さんに挨拶をしに、一旦家に戻った。 パスポートと滞在ピザと、母子手帳と、アツから貰ったお守りと、兄さんたちから貰ったお守り、それと、未幸のへその緒が入った桐の箱がちゃんと入っているか確認してから、リュックサックを背負った。 「いってらっしゃいませ」 「行ってきます!!」 雅枝さんにぶんぶんと大きく手を振りながら、寺田さん達が待つ場所に急いだ。 門を出ようとした時だった。 ぬっと、黒い影が僕の目の前に現れたのは。 その人は・・・・。 そう、あの人だった。

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