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”故郷”へ

「奏人は早起きさんだな」 お腹を擦っていた佳大さんが嬉しそうに微笑んだ。 「人んちの子に気安く触らないでくれるかな」 不満を露にして、アツも負けじとお腹を擦る。 「あらら、貴方たち・・・本当に仲がいいのね」 朝っぱらから騒ぐ二人に、様子を見に来てくれたお祖母ちゃんも呆れていた。 「佳大、何時にここを出るの?」 「7時に、乾先生が迎えに来ることになっている」 「なら、あと、30分もないじゃない。ねぇ、佳大。未央ちゃんとアツ、二人きりにしてあげない?しばらくの間、離れ離れになるんだし・・・」 「お祖母ちゃんがそういうなら・・・仕方ないか・・・」 佳大さんがむくっと体を起こした。 視界に、褐色の逞しい肩甲骨と臀部が飛び込んで来た。 「なっ、なんで、裸なの!」 「何を今更恥ずかしがっている。何度も、見ただろう?」 これ以上は禁句!アツの前ではだめ! 慌てて、佳大さんの口を押えようとしたら、アツも裸だとようやく気が付いた。 「アツは昔からお兄ちゃんの真似ばかりしてたものね」 わたわたと動揺する僕とは正反対に、お祖母ちゃんはドンと落ち着いていた。 流石だ。 「シャワーでも浴びてくるか」 着替えを手に佳大さんが部屋を出て行って、お祖母ちゃんもそっといなくなった。 「未央・・・これは・・・その・・・朝の生理現象だから・・・」 おたおたしながら、ぎゅっとアツが肩を抱き締めてくれた。 「すぐ、後を追うから待ってて・・・奏人もパパが行くまで待ってて・・・」 真面目な顔で面白いことを言うから、思わず笑ってしまった。

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