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奏人とはじまる新しい生活

アツからは、奏人のパパとして、これからも変わらぬ愛を告げられ、佳大さんからは、離婚する気は一切ない、戸籍上自分の子になっている奏人をこのままにしておきたいと告げられた。 『決めるのは、未央自身だ・・・』 二人から、奏人のパパをどちらか、選ぶように迫られている。 アツを選べば、この家を出て行かなければならない。経済的にも生活力がない僕らは、そうなると日本へ戻る他ない。 佳大さんを選べば、今まで通りの生活が保証される。 でも、そうなると、アツを父の二の舞にしてしまうかもしれない。 ゆっくりと上体を起こし、奏人を笑顔で囲む二人を眺めた。 このまま、3人ではだめなのかな。 あのとき、僕と奏人を守ろうと、決死の覚悟で盾になってくれた二人。 小さいときから、僕は、二人に守られていた。 お父さんや、お母さん、お祖父ちゃん、お祖母ちゃん。それに、寺田さんや、ヒーリーさんや、雅枝さんも、みにくいアヒルの子と親に罵られ、捨てられた僕を必死で守ってくれた。 心から愛してくれて、大切にしてくれた。 今、僕が、こうして、奏人を授かり、幸せな生活を送れるのは、みんなのお陰でもある。 だからこそ、誰も不幸にしたくない。 だって、二人とも、こんな僕を心から愛してくれるから。 アツの事は勿論大好き。 佳大さんの事も、前と比べたら、好きになっていると思う。 「あのね・・・」 「ん⁉なんだ、改まって」 「どうした未央?」 「二人とも好きじゃだめかな・・・パパが、二人いてはダメかな・・・。 だって、選べないよ。どっちかだけなんて・・・無理だよ・・・アツ、ごめんね。佳大さん、ごめんなさい」 鼻を啜りながら、涙を手で拭いながら、自分の思いを必死に二人に伝えた。

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