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愛する二人と紡ぐ未来
「一番悪いのは、俺だな。未央を諦める、そう言っときながら・・・どうしても、諦める事が出来なかったから・・・ごめんな、アツ、未央・・・」
佳大さん、頭を深々と下げた。
「悪いのは、俺も同じ。佳兄といずれ一緒になる、それを分かっていながら、未央を好きになったから・・・ごめん、佳兄、未央・・・」
アツも、慌てて頭を下げた。
「二人とも、顔、上げて‼」
謝ることなにのに。
悪いのは、この僕なのに。
今にも息が詰まりそうな場の雰囲気を変えたのは、奏人だった。
フギャーフギャーと急に泣き出した奏人をアツが優しく抱き上げて、懸命にあやしてくれた。
「オムツなら、俺が交換するぞ」
「佳兄、オムツ交換なら俺にだって出来るし」
「本当か⁉ゆるゆるうんちにヒビっていたくせに」
アツ、痛い所をつかれ、頬っぺたを膨らませた。
「俺は構わないよ。未央と、奏人が側にいてくれれば、それで・・・奏人、パパっておいで」
頭を手で支えながら、優しく腕に抱き寄せる佳大さん。
奏人は、ピタっと泣き止んで、ニコニコの笑顔を見せてくれた。アツも、佳大さんも目を細め、顔は緩みっぱなしに。
「佳兄にこんだけなついているんだ。引き離すわけにはいかないよ。俺も、未央と奏人が側にいてくれれば、それでいい」
「3人で、奏人を育てよう」
「佳大さん、ありがとう。アツも、ありがとう」
二人の思いが同じだと分かって、すごく嬉しかった。
「未央・・・愛しているよ・・・」
右の頬っぺに、アツが、誓いのキスをしてくれて、
「一生涯、未央だけ愛し抜くよ」
左の頬っぺたに、佳大さんが、誓いのキスをしてくれた。
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