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第33話 榛名、お仕置きされる②

(これが、霧咲さんの……) 榛名は生唾を飲み込み、やや勃起しかけている霧咲のそれにそっと手を添えた。そして『んっ』とその先端に軽く口付けししたあと、浅くそれを咥え込んだ。 (俺、いつもコレでわけわかんないほど気持ちよくなってるんだ……) 男のものをこんなに間近で見るのも、舐めるのも初めてだ。しかし榛名は霧咲が驚くほど積極的に、うっとりした顔でそれに舌を這わせ始めた。霧咲のモノがぴくっとまるで別の生き物のように反応する。それがすごく愛おしく感じて、包んであげたいと思った。そうしていつの間にか、榛名は口を大きく開けて、霧咲のペニスを口内に招き入れていた。 「んっ……んふっ……ちゅ……」 口いっぱいに霧咲の味かローションの味か分からない、初めて味わう味が広がった。少ししょっぱいような何ともいえない味なのだが、興奮している榛名には味なんてどうでもよかった。ただ霧咲を気持ちよくしてあげたい、それだけだ。 「んッ……むぐ……ジュプッ……」 「アキ……本当に君は、俺以外に男と寝た経験はないの?」 霧咲は、榛名の痴態を一瞬でも逃すまいと凝視している。柔らかな髪を撫でながら、ついそんな質問を口にしていた。榛名の口淫があまりにも上手で、いやらしすぎたからだ。 「はむっ……あ……あい、れすよ……?むぐ、む、じゅぷっ……」 「フェラは初めて?」 「あはりはえ……ジュプ、ヂュウ……ッ」 咥えながら、歯を立てないように返事をする。霧咲の勃起したモノは大きくて口に全部は入りきらないため、竿の部分は右手で擦った。 そして先端をジュウッと吸いながら口から引き抜き、先ほど霧咲が自分にしてくれたように――霧咲の場合は手でしてくれたのだが――袋の中の二つの玉を一つずつあむっ、と美味しそうに咥えた。 「っ、アキ、そこは……」 「あむ……はぁっ……」 なんだか口の中で転がすのが少し面白い。陰毛が絡まるのが少し不快だったが、そんなものより快感の方が大きかった。榛名は霧咲のモノを舐めしゃぶりながら、自分でも信じられないほど昂っていた。しゃぶっているだけでイキそうで、左手は相変わらずぎゅっと、自分自身を戒めていた。頭がどうにかなりそうだと思った。そして。 「 アキ……一度出すよ……っ」 「んぅッ?は……あむっ」 別に再び咥えろと言われたわけではないのだが、出すと言われて榛名は自然に霧咲のモノを再び咥えた。そして頭を上下に動かし、霧咲のペニスを刺激していく。先走りが次から次へと溢れ出てきて、榛名は舌でそれらを全て絡め取っていく。霧咲は榛名の頭を固定して、自らも緩く腰を振り出した。 「あぁっ……!アキ、すごいよ!男のを咥えるのは初めての癖にいつの間にそんなことを覚えたんだ?君は本当に淫乱だな!」 「はむっ、らしてぇ……ッ」 「ハッ、出すよ!アキ、飲んでくれっ!」 「むぐぅッ……!!」 次の瞬間、榛名の咥内は粘ついた生ぬるいものでいっぱいになった。しかし頭は固定されていてピクリとも動かせず、行き場の無いその液体を榛名は喉の奥へと流し込んだ。 頭を押さえつけられていた力が弱まり、ズルリと霧咲が榛名の口から出て行った。 「はぁっ、はぁっ、ゲホッゲホッ……」 榛名は無意識だった。絶望的な声を出してしまった。それは霧咲の精液を飲んでしまったからではない。 「アキ……オシオキだって言ったのに、いけない子だね…?」 自身を戒めていた左手をつい緩めてしまい、榛名は霧咲がイクのと同時に自分の白濁も吐き出していた。 「あ……ごめんなさっ……」 霧咲は微笑んで、榛名の髪や顔を優しく撫でている。それはとても穏やかな仕草なのに、逆にその態度に榛名は全身がゾクリとした。 「そんなに別のオシオキをされたいのか?人のを舐めてイクなんて、君は淫乱というより変態だな」 「……っ」 これから何をされるか分からない恐怖。でもそれと同時に、榛名は高まる期待も抑えられなかった。 「……とは言え、今日はローションとコンドームの他には何の道具も持ってきてないから、オシオキの種類も限られるなぁ……せめて包帯でも拝借してくればよかった」 霧咲は真面目な顔で至極残念そうに言った。 「ど、道具って」 「尿道カテーテルとかさ」 「は!?」 自分に導尿でもするつもりなのか、と少しぞっとした。けど、怯える榛名の顔を見てニヤついている霧咲を見たら、やりかねない……と思った。 「まあそれはまた今度。じゃあとりあえず……俺は今からワインを飲むから、君には俺の前でオナニーでもしてもらおうかな」 「えっ!?」 てっきりこのまま言葉攻めで翻弄され、挿入して貰えるのだと思っていた榛名は、拍子抜けしたというか――あからさまにガッカリしてしまった。しかも目の前に霧咲がいるのに、自慰をやれという。見られるのも恥ずかしいが、何故目の前に恋人がいるのに(なったばかりなのだが)自分で自分を慰めないといけないのか、榛名には理解不能だった。 霧咲は戸惑う榛名を残してベッドから起き上がると、身体に付いたローションをタオルで軽く拭いてバスローブを羽織り直した。そして椅子に座り、榛名の方を向いて長い足を組んだ。 「さあ、いつでも始めていいよ」 「っ……こんなの……!」 嫌だ、と言おうとしたが遮られた。 「榛名、これはお仕置きなんだよ?俺のを欲しがっている君も可愛いけどね、夜に可愛がられるってわかってるんだから昼くらいは我慢しないと楽しみが半減するだろう?それに今ちゃんとお仕置きしないと、君はまたやるだろうし」 まるで犬の躾のようだ、と思った。 「や、やらない……っもう、一人ではしないから」 「それはどうかな?君は淫乱だからね」 「っ……」 否定できない自分が悲しい。それは事実だから、言い返すこともできない。霧咲はそんな榛名を見て、楽しそうに微笑んだ。

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