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第35話 三度目のセックスは

榛名はベッド上であぐらをかいた霧咲の上に、軽く膝を立てて座っている。さっきは背中を向けていたが、今度は向い合わせだ。そして先程とは打って変わって、甘い声で囁かれる。癖になるような深いキスと、全身を優しく愛撫されながら。 「本当に君って純粋……いや、単純で可愛いよね」 「ちょっ……乳首舐めながら悪口言うのやめてください」 榛名は、自分よりも低い位置にいる霧咲に文句を言った。 「褒めてるんだよ?可愛いって」 「いや、その前ですよ」 「純粋ってとこ?」 「………っ」 霧咲は榛名の乳首を舐めながらニヤニヤと笑っている。榛名はムキになって『その次!』と言い返すのをやめた。 意地悪はしないと言っていたが、どうやらからかうのはやめないようだ。(からかう=意地悪ではないのだろうか?) 本当に小学生男子みたいだな……と思ったが、同時にそんな霧咲が可愛い、とも思った。 榛名はさっきから自分の胸の突起をチュパチュパと舌と唇で愛撫している霧咲の髪をそっと撫でつけ、震える声で言い返した。 「……っなんか、そうしてると霧咲さん、赤ちゃんみたいで可愛いですよ……」 「ほう……君は赤ちゃんにお乳を吸わせたことがあるの?」 霧咲はそう言うと、榛名の乳首を甘噛みして引っ張った。突然の強い刺激に高い声が漏れる。 「ァァッ!んなこと、あるわけっ……!」 「だって、まるでしてたみたいに言うからさ」 そんなわけあるか!と思ったが、巧い返しが思い付かない。きっと言い返したところで、また更に言い返されるのがオチだろう。どうやら霧咲はかなりの負けず嫌いらしい。 彼は間違いなく大人で、余裕な大人ぶっているけど、他にももっと色んな顔があるのかな、と思った。 そしてその顔を、全部見てみたいとも。 (口じゃ絶対敵わないしな……) 榛名はもう余計なことは言わないぞ、と心に決めて、大人しく霧咲の愛撫に身を委ねた。そして霧咲の指が、後孔に触れた。 「あっ……!」 さっき第一関節まで挿入されたが、それ以上は入ってこなくてとてももどかしかった。榛名はきゅん、と霧咲の指を締め付けて、そのまま奥まで誘導しようとした。 「アキ、そんなに締め付けてたら前にも後ろにも動かせないよ?そんなに俺の指が欲しかったの?」 「アッ……ん、欲し、かった!」 素直に言ったら、霧咲は口角を上げた。そして、榛名の耳元でわざとらしく言う。 「君のココ……すごい収縮を繰り返して俺の指を締め付けてくるよ。すごいね……でも、少し弛めてくれる?」 「むり、どーやって……っ」 無意識できゅうきゅうと締め付けてしてしまって、弛め方が分からない。でもこのまま指先だけ突っ込まれたままなのも辛い。無理矢理奥まで突っ込んでくれたらいいのに、と思った。 「ほら、力を抜いて……コッチに集中して」 「あ、ふっ……」 霧咲の舌がぬるりと口内に入ってきて、優しく絡めとられる。また、榛名自身にも触れてイカない程度に優しく愛撫してくれた。気持ちよくて、自然に身体から力が抜けていく。 「いい子だね」 「ひあっあ……!」 霧咲の指が、ゆっくりと榛名のナカに挿入ってきた。そしてグニグニとナカを探り、前立腺を探し始める。ズチュッ、ヌチュッと、ローションを巻き込んだ卑猥な音が部屋に響き始めた。榛名は脳を犯されてるみたいなこの音が好きで、『もっとして』と霧咲に懇願した。 「あっ、霧咲さん、もっとして!もっと、欲しっ……!」 「何がもっと欲しいの?」 「指っ……いっぱいグチュグチュしてっ!」 「ふふ、本当に淫乱だね君は」 指が増やされてバラバラと動かされると、ナカのイイトコロに霧咲の指が当たる。榛名は叫びながら仰け反って反応した。 「ひあぁアッ!ソコぉ!イイッ!」 「前立腺気持ちいいの?涎垂らしちゃって、可愛い……」 仰け反った時に、霧咲に顎の辺りをぺろりと舐められた。どうやら垂れた唾液を舐め取られたらしい。霧咲の指は止まらず、榛名の前立腺を攻め続けている 。 「んぁ、あーっ!きもちい、ぜんりつせんっ……!あ、あん、もういれて……っ!」 榛名は霧咲の首をかき抱きながら、霧咲自身を挿入してくれるようお願いした。それだけでも十分扇情的で霧咲は煽られたが、もっといやらしいことを言わせてみたかった。 「じゃあ、こうおねだりして?」 霧咲は榛名の耳元に口を近付けると、ボソボソと何かを言った。榛名の顔が羞恥で紅く染まる。 「なっ、いやぁ、そんなコト言えない!」 「でも欲しいんだろ?言わないとあげないよ。でも棒読みも頂けないから、心から言ってね」 「……っ!」 「出来るよね?」 霧咲はわざとらしく自身の先端を榛名の後孔にゴリッと押し当てて、耳元で静かに煽った。 (恥ずかしい) そんなセリフを言わないといけないなんて、恥ずかしくてたまらない。 けれど……それでも榛名は、霧咲が欲しいと思った。 「……お願い、しますっ」 「うん?」 「俺の……っさっきからヒクついてる、いやらしいお尻の穴に……っ」 「本当だ、ヒクヒクしてるね」 榛名がそのまままっすぐ腰を下ろせば、霧咲のモノに貫かれる体勢だ。けどそれをすることは許さないように、腰はしっかりと霧咲の手で固定されていた。なので霧咲が少し腰を揺らすと、ソレは榛名の後孔の周りをツンツンと刺激する。 「っあ……!」 「ほら、どうしてほしいの」 もう、我慢なんてできなかった。どんなに恥ずかしい言葉も、どうでもよくなるくらい。 榛名は霧咲に顔が見られない様に、ぎゅっと首に抱きついて、言った。 「あ……貴方の肉棒を奥まで挿れて、グチャグチャに犯してくださいっ!」 (あぁ……言っちゃった……) 何か大事なものを失った気がしたが、そんなものは榛名の中にはとうに無い。あの日、霧咲に出逢ってから。 「……出来たら顔を見せて言って欲しかったけど……いいよ、あげる」 「んあぁっ……!!」 霧咲の満足したような声が聞こえた後、腰を支えていた手の力が弱まって、霧咲のモノが榛名の中にめりめりと音を立てて入ってきた。 待ち望んでいたソレが入ってきた瞬間、榛名は一度声を上げたが、それ以降はしばらく声が出せないほど感じていた。

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