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18-2 竜人の一族って意外といるんだね

 何にしてもお茶会となった。庭にテーブルを出して、俺は用意された柔らかな寝椅子に座っている。  俺のお腹は更に大きくなっている。これからまだまだらしく、臨月間近となればポコンとお腹だけがまん丸に出てくるそうな。今はまだそこまでじゃない。 「それにしてもさ、不思議な感じだよな。俺の知ってるマコトと今って全然ちがくてさ」 「ロシュ、人は子を授かると皆慈母のような顔になるものですよ」 「ランセルはならなさそーじゃん」 「おや、そうでしょうか?」  なんて言って楽しそうにしている。ランセルさん、とても癖があるな。 「マコトの体調は安定していると聞く。後数日もすれば産まれると言うが」 「あぁ、うん。えっと…あと3日…」  実はなにげに緊張している。考えないようにしている。その時まで覚悟なんて出来るもんか。 「3日後か。周囲は楽しみだが、当人は不安も多いだろう」  リュミエールは落ち着いていてとってもしっかり者だ。そして優しい。  俺はにっこり笑ってユーリスを見た。それに視線を合わせたユーリスも、大丈夫と頷いてくれる。 「おや、父の顔ですね」 「お前は変わらないな」 「これでも父なのですがねぇ。奥様にも言われるのですよ。お前は変わらないと」 「嫌われてるだろ」 「愛情が裏返っていると言っていただきたいものです」 「拉致監禁して子供出来るまで散々に抱き倒した奴がよく言う」 「!」  なんか、凄いの聞こえた。え、なにそれ…。  思わずマジマジとみてしまうと、ランセルさんはニンマリと笑った。 「毎日枕元で『愛している』と囁いておりますので、平気ですよ。それに、本当に私を拒んでいるのでしたら子など産んではくれなかったでしょう。結局は私の事を好いてくれております」  いいのかな、それ…。思っていると、こそっとロシュが口を寄せた。 「凄いんだぜ、出会い頭にコクって、拒まれまくって拉致ってきて、半監禁して口説きまくってやりまくってさ。それでも最終的にコイツの事受け入れて子供産んだんだから凄い人なんだよ。しかもすっごく格好いいんだ。コイツが拉致るまでは軍人だったんだぜ」 「はははっ」  俺、ユーリスで良かった…。 「それにしても、ガロンは遅いな」 「ガロン?」  どうやらもう一人来るらしい。ユーリスは周囲を気にしている。俺が首を傾げると、リュミエールが穏やかに頷いた。 「我ら竜族の中で最も尊い血筋の竜だ。黄金竜だ」 「黄金!」  凄いキラキラしてるのかな? そんな事を思っていると、ふわりと風が舞った。そしてそこに、金色の光が散った。

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