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15、欲しがる身体
「景……どうして、そんな」
そのまま耳たぶを甘噛みされ、理人は思わず「ぁっ……!」と声を漏らしてしまった。すると、さらに耳孔をいやらしく舐めくすぐられ、同時にペニスをやわやわと揉まれた。
さっきまでのきつい刺激ですっかり昂ぶっていたそれは、景からの愛撫にさらなる快楽を得てしまう。自然と浅ましく揺れはじめる腰の動きに、景がふっと小さく笑った。
「理人はあいつを憎んでいいんだ」
「っ……でも、俺……っ……」
「最初にこの話を聞いた時……俺は、絶対に許せないって思ったよ? 理人も、そう思うだろ?」
「……んっ……ァ」
する……と景の手がズボンの中に入ってくる。ほぼ部屋着のまま外に出ていたため、ズボンは緩めのコットンパンツだ。あっさりと屹立を握り込まれ、びりびりと甘く痺れるような快感を与えられ、理人は思わず腰をしならせた。
「……ふ……すごく硬い。気持ちいい? あいつが死んでから、ずっとひとりでヒートを乗り越えてきたんだろ?」
「そ、んなの……! お前に関係ないだろっ……」
「冷たいなぁ、理人は。……これからは、俺がいつでも理人を抱きしめてあげる。オメガ同士なんだ、俺となら、なんの危険もないんだよ? 拒絶反応も出ないしね」
「んっ……」
再び唇を深く覆われ、びくんと身体が小さく跳ねた。景はわざとのように水音を立てながら濃密なキスをして、淫らな動きで理人のそれを慰める。
景の言うように、これまでずっと、理人は自分自身で火照る身体を処理してきた。久方ぶりに感じる誰かのぬくもり、そしてどこまでも巧みな景の手管に、理人はだんだんまともな思考を奪われ始めている。
「ぁ、けいっ……ぁっ、待っ……いっちゃう……出ちゃう、からっ……!」
「いいよ、出して? ……ねぇ、よく顔を見せて」
「やだっ……見るな、見んなよっ……!! ぁ、ぅあ、ッ……んっ、んっ……」
顔を倒して景の目から逃れようとするも、荒っぽい手つきで顎を掴まれ、ぐいと上を向かされてしまう。すぐそばで理人を屠る景の瞳が、うっそりとあやしく細められた。
とろとろと涎を垂れ流す鈴口を親指でいじめられ、なおかつ淫ら極まりないキスで理性を奪われ、徐々に絶頂の気配が近づいてくる。こんなことをしていてはいけない、と頭ではいやいやをするように首を振るが、快楽を貪る腰の動きはどこまでも正直だ。
喘ぎを殺しながらもその先をねだる理人の葛藤を嘲笑うように、景はぺろりと赤い唇を舐めた。
「……あぁ、なんていやらしい顔をしてるんだろう。理人のこんな顔を、あいつは何度も何度も見てきたんだな……」
「ぁ、あっ、けいっ……ぁ、あっ」
「ほら、イっていいんだよ? 気持ちいいだろ? これまでずっと、よく一人で耐えたね」
「ぁ、あぁ……っ! やだ、ぁっ……イくっ……イくっ……!」
二度、三度と激しく絶頂する理人のペニスからは、たっぷりとした体液が溢れていた。
景がすっとズボンから手を抜くと、どろりとした理人のそれが、景の白い指をねっとりと汚している。
景は理人の目の前であざとらしく指を動かして見せた。すると、指と指の間で、透明な糸がとろんと伸びる。景は理人を見下ろしながら舌を出し、滴り落ちる体液をぬらりぬらりとと舐め取った。
羞恥のあまり顔を背けようとしたけれど、恍惚とした景の表情から目が離せなかった。
理人の体液をさもうまそうに味わいながら、景は形のいい唇を釣り上げて、婉然と微笑んだ。
「……あぁ……甘いなぁ……」
「景……お前……どうしちゃったんだよ……。昔のお前は、こんな……」
はぁ、はぁと呼吸を整えながら、理人は過去に縋るような想いで景に問いかけた。すると景は笑みを浮かべたまま、するりとジャケットを脱ぎ捨てる。
「昔の俺は、こんなじゃなかったって? ……ふふ、それは理人も同じだろ」
「……え?」
「俺みたいなのにいいようにされてるっていうのに、気持ちよさそうに腰を振ってさ。ウブで照れ屋だったあの頃が嘘みたいに、エロいよ」
「っ……」
景はしゅるりとネクタイを抜き、ワイシャツのボタンを外していく。理人に見せつけるように白い肌を晒す景の肉体は、シャツの上からでは想像がつかないくらい、硬く引き締まっていた。ストイックに鍛え上げられた景の身体に思わず目を奪われていると、するりとズボンをずり下げられた。先ほどの射精で濡れそぼったペニスと下生えが露わになり、理人は思わず身体を縮こませようとしたが……。
「だめだよ。隠さないで」
素早く太ももの上に跨られ、動きを封じ込まれてしまった。景は上半身裸になると、今度は理人のシャツをするするとたくし上げ始めている。
「景っ……!! もう、いいだろ、やめろよ……!!」
「本当に、やめてほしいって思ってる?」
「は、はぁ……!?」
「ほら見て。理人のコレ、また元気になり始めてる。もっともっと気持ちよくなりたいって、欲しがってるんだろ?」
「ち、ちがっ……!!」
一度出したにも関わらず、理人のペニスは再び上を向いている。そんな己の反応に驚いていると、シャツはいつしか胸の上まで捲り上げられ、すぐに景の唇がむしゃぶりついてきた。
「ぁんっ……!! こらっ……やめ」
「へぇ……かわいいね、理人。ちょっと吸われただけでツンツンに硬くしてる」
「ぁ、あ、っ……けいっ……!」
「好きなんだね、乳首をこうしていじられるのが。……かわいい。もっともっと、気持ちよくしてあげる」
舌先が尖りに絡みつき、きつく吸われる。ねっとりと熱く濡れた景の舌は、淫らな動きで理人の性感帯を責め立てた。同時に脚の間に伸びてくる景の腕に、理人は抵抗することができなかった。
「ぁ!! ……ぁ、あ!」
とうとう、景の指が理人の蜜壺にまで伸びてきた。ずっとずっと楔を求めていた理人の後孔は、信じがたいほどに熱い粘液で潤んでいる。指が深く挿入され、ゆっくりと引き抜かれるだけで、あまりの気持ちよさに目が眩みそうになった。
「あ……っ、ンん……」
「……随分きついね、まるで処女みたいだ。……でも、俺の指を美味そうにしゃぶってる」
「けいっ……や、やだぁっ……っ……あっ……!」
「ほら……聞こえる。指を動かすだけで、こんなにいやらしい音がする。……はぁ……なんてかわいいんだろう」
景はねっとりと理人の乳首を舐め回しながら、長い指でぐちょぐちょと理人の窄まりを掻き乱す。理人は自ら脚を開いて景の指を受け入れつつ、両腕を伸ばして景の背中に爪を立てた。
「ぁ、ンぁ……ッ……! けいっ……ァ、あぁん、んうっ……!」
「……こっち、自分でいじらなかったの? ……ものすごく、欲しそうだよ……?」
「んっ、んぁ、あ……っ、だめ、だめ、ァっ……」
「ダメだなんて、思ってないくせに。……寂しかったんだろ? もう我慢しなくてもいいんだ」
景はすっと身を起こし、スラックスのベルトを緩めた。
解放された景のペニスは、アルファのものよりほっそりとしているように見えるけれど、猛々しく尖った刃のような形に見える。オメガのそれとは思えないほどに興奮し、涎を溢れさせ、すぐにでも理人の中に入りたいと盛っているのだ。
「……ごめん、抱かせて。俺はもう、耐えられない」
「けい……ァっ……」
「ハァっ……理人、好きだよ。もう絶対に離さない。俺がずっとそばにいる。だから、許して……」
蜜を滴らせて肉棒を待つ理人の後孔に、景の切っ先があてがわれる。先端を触れさせられただけで、理人の最奥はきゅうっと締まり、久方ぶりの快楽を待ちわびて打ち震えている。
「あ……!! ァっ……ぁ、んんっ……!!」
じゅぷん……と根元まで挿入された瞬間、理人の脳裏で何かが弾けた。挿入と同時に、理人のペニスからも体液が溢れ、痺れるような絶頂感に全身が満たされる。
「はっ……ハァっ……すごい、理人の中っ……ハァっ……」
「けい……ァ、ねぇ、……して、うごいて、いっぱい……っ……」
奥まで嵌めた状態で動きを止めていた景を急かすように、理人は自ら腰を上下させて続きを煽った。すると景は熱に浮かされたような表情で唇に笑みを浮かべると、理人の腰を強く掴み、荒々しい動きで腰を打ち付けてきた。
「ぁ、あ、ああ、あ、あ」
揺さぶられるたびに甘え声が漏れ、内側から満たされる快感に涙が滲んだ。
――もう、何も考えられない……なにも、かんがえたくない……。
理人は本能に身を委ね、目を閉じて景の身体にきつく縋る。
白い背中に赤い爪痕を残しながら、理人は押し寄せる快感に、悦びの声を叫び続けた。
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