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接吻1
二人は生まれたままの姿になり、もつれ合うようにベッドになだれ込む。
「あっ……あぁ! 彰広!!」
透の甘い喘ぎ声に誘われて、彰広は透の素肌に手のひらを這わせた。
細いが綺麗に筋肉のついた透の体を撫でまわし、舐め、口付ける。その匂いにも味にも興奮した。
彰広は息を荒くして、すんなりと伸びた両脚を抱え上げ、透のアナルをさらけ出す。
「あっ!待って……」
「黙れ」
舌を伸ばし、まだ硬く閉じた透のアナルを舐めた。
「あぁ!……そんな、汚い。やめっ、彰広っ!!」
透が羞恥に身をよじるが、無視して愛撫を続ける。
唾液まみれにして、緩んできた後孔に舌を差し入れじゅぷじゅぷと犯す。
「あっあぁあ! はぁ、やっ……あ!」
早く挿りたくて、指と舌で性急に解していく。
荒々しい愛撫に感じ、透のぺニスは硬く勃ち上がり、トロトロと先走りの汁が垂れっぱなしになっている。
彰広の愛撫に素直に感じる体がたまらない。
早く透の中に入りたい。
「……入れるぞ」
「あっ!」
彰広は透の両脚を抱え直し、後孔に男根をあてがう。
濡れた後孔が待ちわびたように、ひくひくと彰広の雄に吸い付いた。
───ああ……透、透。
ずっと、飢えていたのは彰広も同じだ。
我慢できずに一気に貫いた。
「ひぁ! あぁああ───!……あっ……あ、きひろぉ!!」
「くっ!」
透の中は熱く、灼熱のマグマのように爛れて、彰広の雄を歓喜して受け入れる。
「あっあっ……はぁ、彰広ぉ!」
「……くそっ! すげぇな、透……持っていかれそうだ」
最奥まで突き入れた彰広は、その締め付けに眉根を寄せて耐えていた。
暫し、じっとしていた彰広の頭を透の両手が捉えた。
ぐっと引き寄せて、唇を合わせる。
「……!!」
ためらうことなく、透は彰広の口内に舌を潜り込ませてからめてきた。
一瞬、硬直した後、彰広は透に激しくキスを返した。
透の体をシーツに沈めるようにして、深く貪るようにキスする。
彰広が透に口づけたのは二回だけだった。
一度目は高校のときの、放課後の教室で。
二度目は透を監禁したとき、別れ際にそっと触れるだけのキスをした。
色事に達者で、擦れきっていた自分にとって透とのキスは特別なものになっていた。
……二度目は意地になっていた部分もあったが。
その体に凌辱の限りを尽くしても、透の唇だけは奪わなかった。
馬鹿みたいに、ママゴトのような幼い接吻に拘って。
極道の生き方を選んだ自分にとって、最後までとっておきたい美しいもののように思っていたのかもしれない。
けれど、今……
透の唇を貪り、舌を絡め、お互いの唾液を交換する。
透は彰広の頭をかき抱き、彰広の髪を乱す。
「はぁ……ん……あき、ひろ……」
口づけの合間に名を呼ばれると胸が苦しくなった。
その度に、もっと深く透の唇を貪ってしまう。
否、彰広だけが貪っているわけではない。
引き寄せ、かき抱き、透も彰広を貪っているのだ。
互いに奪い合い、これ以上ないくらい密着して、二人は一緒に腰を蠢かしていた。
文字通り、二人はひとつだ。
「あっ……んぅ……んっ!んっ!……む、ぅん」
「……はぁ……ッ……透!」
徐々に激しくなるスラスト。
透は離すまいと、しなやかな両脚を彰広に巻き付ける。
彰広も腕の中に閉じ込めるように、透を強く抱きしめ、絶頂を目指す。
「あぁあ! あっ! あっ───!! あきひろぉ!!」
「……ッ! ……透っ!!」
きつく抱き合い、二人同時に達した。
透は彰広の逞しい腹に擦り付けるようにして、彰広は透の奥に白濁を叩き付けるように吐き出した。
体の奥深いところで彰広の熱を感じ、震えながら透も長い絶頂感を味わう。
「はっ……ぁあ……あぁああ……!」
お互いの荒い息が部屋を満たす。
透はまたも彰広の頭を掴み、引き寄せて自ら口づけた。 呼吸が整うのを待たずに彰広の息を奪う。
拘束するのでも、従わせるのでもない。
彰広が透を奪っているのではない。
奪ったつもりが奪われたのは彰広の方だった。
───今も透に、呼吸すらも奪われている。
ずっと、自分には透だけが特別だった。
これからも、ずっとだ。
透のキスを受け入れているうちに、再び彰広の雄は硬さを取り戻す。
そのまま……二人は終わりが見えない欲望に身を任せていった。
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